テキサス知事、民主党州議員の逮捕命じる-選挙区割り巡る対立激化

米テキサス州のアボット知事は4日、州議会での新たな連邦下院選挙区案の採決を阻止するため州外に出た民主党議員の逮捕を命じた。

  同知事は「テキサス下院の民主党議員は、州民への責務を放棄した」と声明で発表。「私はテキサス公安局に対し、責務を放棄した議員を見つけ出し、逮捕し、下院本会議場に連れ戻すよう命じた」と明らかにした。

  州下院が逮捕状の発行を認めたが、これらの逮捕状には刑事罰は伴わず、州境を越えての執行もできない。

  共和党議員は先週、連邦議会下院での議席数を増やすための選挙区再編案を提案。民主党はこれを「ゲリマンダー」、つまり自党候補を有利にする恣意的な区割りだと批判している。

  今回の再編案提出は異例のタイミング。民主党議員がテキサス州を離れたことにより、週末にかけて全米の注目を集めた。

  トランプ大統領は、この再編を2026年の中間選挙で共和党の勢力拡大に資するものとして後押ししている。一方、民主党のニューサム・カリフォルニア州知事やホークル・ニューヨーク州知事らは、対抗策として自州の選挙区を見直す可能性に言及した。

  州外に出た民主党下院議員のリーダー、ジーン・ウー氏はイリノイ州での記者会見で、「軽々しく決断したことではない。道義的に間違いないと確信しての判断だ」と語った。「われわれは責任を放棄しているのではなく、有権者の声に耳を傾けようとしない不正操作されたシステムに抵抗しているのだ」と訴えた。

  民主党議員がテキサス州を離れたことで、州下院は議事運営に必要な定足数を欠くこととなった。

  民主党議員らは、21年に定足数を欠いた際に制定された規則により、1日当たり500ドル(約7万3500円)の罰金を科される見通し。同年、共和党は欠席議員に対する逮捕状を出し、州に戻らせようとした。民主党議員の一部は裁判でこれに抵抗し、一時的に逮捕の差し止め命令を勝ち取ったが、最終的にテキサス州最高裁によって覆された。

  今年は州議会の特別会期が残り2週間となっており、州中部で先月発生した洪水への対応なども議題となっている。バローズ下院議長は「議員が州を離れたからといって、下院の職務は止まらない。遅れるだけだ」と述べた。

  アボット知事は、議員が州から出たことが公職の放棄に相当するかどうかを巡り、地裁の判断を仰ぐとの州司法長官の見解に言及。仮に放棄と判断されれば、「速やかに」議員を解任できると主張した。

  また、民主党議員らの行動が重罪に該当する可能性があるとし、贈収賄などの容疑で州当局に調査を指示したとも語った。 

  民主党側はアボット知事に反論し、議員の解任や重罪の適用が法的に可能かどうか疑問を呈した。テキサス州を離れた民主党議員の多くがシカゴ地域に向かい、他にもボストンやニューヨーク州オールバニに移動した議員もいる。

  テキサス州のジョランダ・ジョーンズ下院議員(民主)はオールバニでホークル・ニューヨーク州知事と共に開いた記者会見で、「アボット知事が言うような重罪は、テキサス州の刑法にはない」と述べた。ホークル知事は、テキサス州の選挙区再編を「露骨な権力掌握」だと非難した。

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