無人タクシーでのSEXを防ぎたい研究者たち

パウロ・バジリンスキーは、仕事でポルノサイト「PornHub」を見ることになるなんて、いまだに信じられずにいる。彼はオランダのアイントホーフェン工科大学の助教で、人工知能(AI)を活用した人間とロボットの相互作用の研究に10年以上取り組んできた。だが気づいたら、彼はその特異なサイトの「アマチュア投稿」セクションの検索窓に「public transport(公共交通機関)」と打ち込んでいた。ヒット数、297件。

「人間は予測が難しいものです」とバジリンスキーは言う。だからこそ彼はそれを研究していた。つまり、彼のいかがわしい探求にもちゃんと目的があるということだ。

運転席に運転手がいないロボタクシー(自動運転タクシー)は、米国を含む一部の国ですでに乗客を乗せ始めている。一方で、電車や飛行機、クルマといった、半プライベートあるいは完全に公共の空間の中で、人々が反社会的な行動に及んできた歴史は長い──プロムで使われるリムジン、飛行機の中でことに及ぶ「マイルハイ・クラブ」、映画『卒業白書』でトム・クルーズがシカゴの高架鉄道でスローモーションになるシーン、そしてバジリンスキーがPornHubで見つけた数々のコンテンツがそれを物語る。

車内に「おい、やめろ!」と言う権威ある人物がいなくなったとき、乗客は何をしでかすだろうか。実際、何をするのか。始める前に思いとどまらせることはできるのか。

運転手のいない車内の秩序

2026年9月、バジリンスキーと、システム工学、コンピューターサイエンス、心理学、観光学を専門とする学者仲間たちは、まさにこうした問いをめぐってブレインストーミングする業界向けワークショップを開催した。

テーマは、「どうすれば自動運転車内での性行為を防げるか」だ。自律走行車内での性行為について考えることは、モビリティの未来を気にかけるすべての人にとって、これらの車両がいずれ担うことになる共同空間としての役割を「ストレステスト」する機会になる、と研究者たちは理論づけている。そこは日々の社会規範が実践される場所となるのだから。

このイベントが防止策に焦点を当てるのは、単に研究者たちが堅物だからというだけではない(もっとも、共同主催者のひとりでエンジニアリング心理学者のアレクサンドロス・ルーヒツァスは、「わたしたちは親や高齢者の側に立っています──俗に言うイケてるタイプの人間ではありません」と認めている)。

研究者たちが自動運転車内での性行為を望まないのは、潜在的に有望なこの技術に、本当にひどい評判がついてしまうことを懸念しているからだ。

「自動運転によるモビリティが、一般の人々に受け入れられ、信頼されるようになってほしいのです」とルーヒツァスは言う。自動運転は、高齢者、子ども、障害のある人々にとって大きな恩恵をもたらしうる。クルマでの移動のほうが速く、ときには欠かせない場所で、そうした人々は移動に困難を抱えやすいからだ。

この技術は、いずれ個人向けのタクシーの枠を超え、あらゆる人が安全かつ快適に移動できるべき公共交通の領域にも拡がっていくかもしれない。「自動運転によるモビリティが、公平で、真面目で、社会性を重んじるものだと見なされてほしいのです」と彼は言う。

ルーヒツァスが最も恐れているのは、自動運転が、パーティ好きやドラッグユーザー、あるいは彼の故郷ギリシャの一部の島々に押し寄せるような快楽主義的な人々に乗っ取られてしまうことだ。「ミニバンを使って性的な行為をするフェイクドキュメンタリー『Bang Bus』って知ってますか」と彼は言う。「ああいうのは困るんです」

見て見ぬふりの問題に向き合う

この4時間のワークショップは──早朝午前8時30分開始だ──スウェーデンのイェーテボリで開催された、人々と車両やより大きなモビリティシステムとの関わり方をテーマにした業界カンファレンスの一部だ。

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