海自もがみ護衛艦の能力向上型「新型FFM」の艦載UAV、シールドAIの「V-BAT」が有力候補(高橋浩祐)

高橋浩祐米外交・安全保障専門オンライン誌「ディプロマット」東京特派員
三菱重工業が「DSEI JAPAN 2025」で公開したもがみ型護衛艦「FFM」の能力向上型となる新型FFMの100分の1模型(筆者撮影)

海上自衛隊のもがみ型護衛艦(FFM)の能力向上型となる新型FFMに艦載する無人航空機(UAV)として、米航空宇宙・防衛技術企業シールドAIの「V-BAT」が検討されていることがわかった。海自関係者が7月1日、明らかにした。

防衛省は、もがみ型の建造を2023年度計画艦までの計12隻で終了する。そして、新型FFMを2024年度計画艦から5年間で計12隻建造する予定だ。

その新型FFMによる警戒監視と情報収集能力を向上させるため、V-BATが同艦の艦載型UAVの有力候補として検討されている。もがみ型にはUAVは搭載されていない。

V-BATは既に、2022年12月に策定された「防衛力整備計画」に基づき、今後約10年で12隻を取得する予定の新型哨戒艦(基準排水量1900トン)に搭載されることが決まっている。2025年度防衛予算では「V-BAT」6機の取得費として40億円が計上された。

V-BATは、艦艇の飛行甲板からも垂直離着陸(VTOL)ができる無人航空システム(UAS)だ。同社ホームページによると、高さ2.9メートル、翼幅3.8メートル、燃料と積載量を合わせた総重量は161ポンド(73キロ)、最大飛行時間は13時間強などとなっている。

同社は「独自の設計と制御により、強風下、混雑した飛行甲板で着陸ゾーンが4.6メートル x 4.6メートルほどの移動中の船舶でも離着陸が可能」と説明する。

5月21〜23日に千葉・幕張メッセで開催された日本最大の防衛装備品の見本市「DSEI JAPAN 2025」で、シールドAIは最新バージョンの「V-BAT」のフルスケール模型を公開した。

米航空宇宙・防衛技術企業シールドAIが「DSEI JAPAN 2025」で公開した「V-BAT」のフルスケール模型(筆者撮影)

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米外交・安全保障専門オンライン誌「ディプロマット」東京特派員

英軍事週刊誌「ジェーンズ・ディフェンス・ウィークリー」前東京特派員。コリアタウンがある川崎市川崎区桜本の出身。令和元年度内閣府主催「世界青年の船」日本ナショナルリーダー。米ボルチモア市民栄誉賞受賞。ハフポスト日本版元編集長。元日経CNBCコメンテーター。1993年慶応大学経済学部卒、2004年米コロンビア大学大学院ジャーナリズムスクールとSIPA(国際公共政策大学院)を修了。朝日新聞やアジアタイムズ、ブルームバーグで記者を務める。NK NewsやNikkei Asia、Naval News、東洋経済、週刊文春、論座、英紙ガーディアン、シンガポール紙ストレーツ・タイムズ等に記事掲載。

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