「挑戦者」が最後の場面で抱いた自信 東大阪大柏原、大阪桐蔭破る
2025年7月27日19時51分
(27日、第107回全国高校野球選手権大阪大会 東大阪大柏原6―5大阪桐蔭=延長10回タイブレーク)
昨夏の王者に対し、挑戦者の気持ちで臨んだ決勝だった。
東大阪大柏原の先発のマウンドに立った川崎龍輝投手(3年)は試合前、捕手の竹本歩夢主将(3年)と変化球を主体に「攻めの投球」をしていこうと話し合っていた。
その変化球の切れが良かった。投球動作を変えてタイミングも外し、六回まで許した安打は2本だけ。想定した継投のタイミングを大きく超え、七回途中まで投げた。
そしてタイブレークでの延長十回表。犠打で1死二、三塁とし、打席に入った英賀(あが)真陽選手(3年)はバットを短く持って構えた。相手投手は大阪桐蔭のエース。土井健大監督から、全員にそう指示が出ていた。
カウントは1―2。「追い込んだら、フォークで三振をとりにくる」。狙い通りに来た球を打ち返すと、打球は左翼線を抜け、2人がかえった。
抑えれば、甲子園出場が決まる十回裏。「俺らは守備が堅い。必ず行ける」。竹本主将の心には自信が生まれていた。
犠飛で1点をかえされても焦りはない。マウンドに集まった内野陣に言った。
「1点勝っているし、まったくピンチではない。甲子園に行こう」
マスクを被り、古川恵太投手(3年)をリードする。初球はストレート、2球目はカーブ。「打者に反応がない、これならいける」。3球目、再びのカーブで二塁ゴロに打ち取り、駆け寄ったマウンドで仲間たちと一緒に青空を指さした。
この夏、監督や選手らが初戦から言い続けてきたのは「一つ一つの試合、気持ちを切らさず集中する」ことだった。一戦一戦に向き合っているうちに、甲子園にたどり着いた。竹本主将は「『甲子園で1勝』をテーマにして臨みたい」と、夢の舞台を前に目を輝かせた。(渡辺萌々香)