月額課金アプリが次々終了?Apple新機能で年間3万円節約できる9つの変化(g.O.R.i)

6月11日に開催されたAppleの開発者会議「WWDC25」で発表された新機能が、スマートフォンユーザーの間で大きな話題となっています。今回の発表では、これまでサードパーティアプリが提供していた機能を、Appleが自社のiOSやmacOSに直接組み込むことが明らかになりました。この現象は業界では「シャーロック化」と呼ばれ、多くのアプリ開発者にとって深刻な問題となっています。

「シャーロック化」という言葉は、2002年にAppleがMac OS Xの検索機能「Sherlock」を強化した際に生まれました。当時、「Watson」という人気のサードパーティアプリの機能をAppleが取り込んだことで、Watsonが事実上市場から消えてしまったのです。それ以来、Appleが既存アプリの機能を自社製品に組み込む行為を「シャーロック化」と呼ぶようになりました。

普段使っているあのアプリが不要になる?

今回のWWDC 2025では、実に9つもの新機能が既存の人気アプリと競合することになります。特に注目すべきは、macOSの検索機能「Spotlight」の大幅な強化です。これまでは単純な検索機能だった Spotlightが、アプリの提案やコマンド実行、さらにはカスタムショートカットの作成まで可能になります。

この変更により、多くのMacユーザーに愛用されている「Raycast」や「LaunchBar」といったアプリが、その存在意義を問われることになりそうです。これらのアプリは月額数百円から数千円の有料アプリとして人気を集めていただけに、ユーザーにとっては嬉しい反面、開発者にとっては厳しい状況と言えるでしょう。

迷惑電話対策もAppleが本格参入

スマートフォンユーザーを悩ませる迷惑電話の問題にも、Appleが本格的に取り組みます。iOS 26では「通話スクリーニング」という新機能が登場し、知らない番号からの着信を自動的に処理してくれるようになります。この機能は、発信者の名前と通話の目的を自動で取得し、ユーザーが電話に出るかどうかを事前に判断できるというものです。

これまで「Truecaller」や「Robokiller」といった専用アプリが提供していた機能が、iPhoneの標準機能として利用できるようになるわけです。特に高齢者の方にとって、複雑な設定が不要で迷惑電話を避けられるようになるのは大きなメリットと言えるでしょう。

ネットショッピングの荷物追跡も自動化

オンラインショッピングが当たり前になった現在、多くの人が荷物の配送状況を気にしています。これまでは配送業者のサイトを個別に確認したり、専用の追跡アプリを使ったりする必要がありました。

しかし、iOS 26では「Apple Intelligence」という人工知能機能を活用して、メールから自動的に配送情報を読み取り、Apple Walletで一括管理できるようになります。Amazon、楽天、ヤマト運輸など、様々な配送業者の情報を自動で整理してくれるため、もう配送状況を個別に確認する手間がなくなりそうです。

旅行好きには嬉しいフライト追跡機能

出張や旅行でよく飛行機を利用する方にとって朗報なのが、フライト追跡機能の強化です。これまで「Flighty」などの専用アプリを使っていた機能が、Apple Walletの「Live Activities」機能で利用できるようになります。

さらに、Apple Mapsには空港内のナビゲーション機能も追加され、搭乗ゲートや施設の場所を簡単に確認できるようになります。海外旅行で慣れない空港を利用する際にも、これらの機能があれば安心して移動できそうです。

開発者向けツールにもAIが本格導入

プログラマーやアプリ開発者にとっても大きな変化があります。Appleの開発ツール「Xcode 26」には、ChatGPTが標準で組み込まれることになりました。これにより、コードの作成やエラーの修正を人工知能がサポートしてくれるようになります。

これまで「Alex for Xcode」などの専用ツールを使っていた開発者にとっては、追加料金なしで同様の機能が使えるようになるため、開発効率の向上が期待できます。

Apple Watchでもメモが取れるように

意外に要望が多かったのが、Apple Watchでのメモ機能です。これまでAppleは純正のメモアプリをApple Watch向けに提供していませんでしたが、watchOS 26でついに対応することになりました。

電車の中で思いついたアイデアや、買い物リストなどを手軽に記録できるようになるため、多くのユーザーにとって便利な機能となりそうです。これまでサードパーティ製のメモアプリを使っていた方も、純正アプリの方が安定性や連携面で優れている可能性があります。

開発者は差別化で生き残りを模索

このような状況に直面した開発者たちは、ただ手をこまねいているわけではありません。多くの開発者が、Appleの実装では提供できない独自機能の開発に力を入れています。

例えば、より高度なカスタマイズ機能や、企業向けの特殊な要求に対応した機能など、Appleが対応しきれない分野での差別化を図っています。また、過去の事例を見ると、Appleの機能統合がかえってその分野への関心を高め、より高機能な専門アプリへの需要を生み出すケースもあります。

ユーザーにとってのメリットとデメリット

今回の変更は、多くのユーザーにとって経済的なメリットをもたらします。これまで月額料金を支払っていた複数のアプリが不要になれば、年間で数万円の節約につながる可能性もあります。

一方で、これまで愛用していたアプリのサポートが終了してしまうリスクもあります。特に、細かな設定や高度な機能を活用していたユーザーにとっては、Appleの標準機能では物足りなく感じる場合もあるでしょう。

テクノロジー業界への影響

今回の「シャーロック化」は、テクノロジー業界全体にも大きな影響を与えそうです。特に、スマートフォンアプリの開発を主力事業としている企業にとっては、事業戦略の見直しが必要になるかもしれません。

しかし、これは決してネガティブな変化だけではありません。競争が激化することで、より革新的で価値のあるサービスが生まれる可能性もあります。ユーザーにとっては、より良いサービスをより安価に利用できるようになる機会とも言えるでしょう。

今回のWWDC25で発表された変更は、スマートフォンやパソコンの使い方を大きく変える可能性を秘めています。新しい機能が実際にリリースされるのは今年秋の予定ですが、その時にはきっと多くのユーザーがその便利さを実感することになるでしょう。

関連記事: