Switch 2、非公式カートリッジで永久BANの報告多数。サードパーティ製ドックも使わないのが無難
任天堂がNintendo Switch 2で、本体改造や海賊版ソフトに対する取り締まりを強化し、Switch 2を場合によっては使用不能、いわゆる「文鎮化」すると警告していることは、以前もお伝えした通りです。
それが発売後まもなく、すでに実施されていることが明らかとなりました。
海外メディアIGNやThe Vergeほかが、Switch 2でMIGフラッシュカートリッジ(microSDカード対応の非公式カートリッジ)を使った複数のユーザーが、エラーコード「2134-4508」により本体のオンラインサービスへのアクセスを永久的にBANされた事例を伝えています。
このBANはアカウントではなく本体に対して行われ、アカウント自体は他の本体で引き続き利用できます。「2134-4508」の説明にも、「ユーザー規約に違反したため、Nintendo Switch本体がインターネットへの接続を永久BANした」と書かれています。
MIGカートリッジとは、ゲームカードから吸い出したROMファイルを内蔵したmicroSDカードに保存し、複数のゲームを切り替えて遊べるデバイスのことです。このROMデータは「他人が吸い出したもの=海賊版をダウンロード」か「自分の所有するゲームをダンプする」のどちらかになります。
海賊版とは距離を置くためか、MIGカートリッジの製品ページには「個人用のゲームバックアップを使用したゲームプレイ専用バックアップおよび開発デバイスとして機能します」「オンラインプレイ中にMIG Flashの保証を維持するには、正規の証明書、UID、およびカードセットIDを備えた自己ダンプしたバックアップを使用することが必須です」と但し書きしていました。
つまり「自分が持っている正規カートリッジの、世界に1つだけのIDなどの情報もセットで使えば、オンラインでも認証が通る可能性が高い」というわけです。海賊版は「同じIDを持つROMデータが世界にたくさん出回っている」状態であり、それと違えば見のがしてもらえる“かも”という論理ですね。
が、今回の一件により、任天堂は「MIGカートリッジを使うのは、正規ソフトのバックアップ起動でも規約違反」と見なしていることが確定しました。そもそも、任天堂は昨年MIGカートリッジなどの販売業者に対して訴訟を提起しており、それから1年以上も対策を取らないわけがありません。
さらに恐ろしいのは、工場出荷状態(ファクトリーリセット)すると「オフラインでのゲーム起動もできなくなる」、本当に文鎮化する場合もあることです。
MIGカートリッジ使用でオンラインBANされた本体も、ローカル(オフライン)でのソフト起動やセーブデータ利用は可能とされています。ただし、工場出荷状態にリセットすると「オフラインでのゲーム起動もできなくなった」というケースも報告されています。
サードパーティ製ドックを使うことも大きなリスク
Image:任天堂Nintendo Switch 2の純正ドックは約1万5000円とお高いこともあり、すでに非純正品が通販サイトでも色々と出回っています。が、それらのほとんどはマトモに機能せず、少なくとも現時点では「買ってはいけない」ようです。
たとえば海外ゲーム情報サイトGamesradarは、手元にあるサードパーティ製ドックやUSB-C入力対応のポータブルモニターを試したが、どれも映像出力できなかったと報告しています。
また米AmazonでもSwitch 2対応を謳う新製品が登場しているものの、レビューでは「接続が非常に不安定」「TVモードにするには何度も抜き差しが必要」などの苦情に近い投稿が見受けられます。
しかし、これらサードパーティ製品でも、問題なく充電はできています。さらにディスプレイとキャプチャ機器もSwitch 2との接続は認識しているとのこと。
ここから、Switch 2はUSB-CのDisplayPort Altや認証プロトコルを独自に変更しているとみられます。本来USB-Cは汎用的な規格であり、「どのデバイスでも満遍なく使える」はずですが、任天堂が独自アレンジしているということです。
さらにいえば、ソフトウェア的な制限で映像出力がブロックされている=「任天堂が公式ドック以外での利用を意図的に制限」している可能性が高いとも指摘されています。
何度もドックに抜き差していれば、Switch 2本体の故障もあり得るでしょう。それ以上に、任天堂がMIGカートリッジのように怪しげに見えるアクセサリーやユーザーの行動に目を光らせていることを考えれば、オンラインサービスから永久に締め出される恐れもあります。
こうした状況は、サードパーティ側のファームウェアアップデート等で解決される可能性もあります。が、しばらくは公式ドック以外は絶対に使わないよう気をつけたいところです。
京都大学法学部大学院修士課程卒。著書に『宇宙政治の政治経済学』(宝島社)、『ガンダムと日本人』(文春新書)、『教養としてのゲーム史』(ちくま新書)、『PS3はなぜ失敗したのか』(晋遊舎)、共著に『超クソゲー2』『超アーケード』『超ファミコン』『PCエンジン大全』(以上、太田出版)、『ゲーム制作 現場の新戦略 企画と運営のノウハウ』(MdN)など。現在はGadget GateやGet Navi Web、TechnoEdgeで記事を執筆中。