日本から「軽トラ」が消えていく――25年落ちの「スバル」が米国で3万ドル級に匹敵する根本理由

目次 農道を走る軽トラ(画像:AdobeStock)

 近年、米国で日本の軽トラックに対する注目度が異様な高さを見せている。もはや実用車の範囲を超え、投資対象として扱われるケースも少なくない。なぜ製造から25年を経た軽トラが太平洋を越え、利益を生む商品として受け入れられるのか――。

 その理由は、

・制度 ・為替 ・文化

・日本の産業構造の歪み


Page 2

ATV(画像:ヤマハ)

 米国の農場や牧場で一般的に使われる作業車といえば、ジョンディア・ゲイターに代表される多目的四輪車(UTV)だ。悪路走破性に優れ、働くための道具としては申し分ないが、価格は新車で数万ドル、高いモデルだと2万~3万ドルにもなる。しかも多くの車両にはドアやエアコンがなく、雨や寒さをしのぐことはほとんど考慮されていない。

 こうした背景のなかで、日本の軽トラックは米国の目には意外なほど合理的で魅力的に映る。小さな車体でありながら、エアコンやヒーターを備え、キャビンは密閉されている。全天候で快適に作業できることは、厳しい現場では大きな利点になる。4WD仕様であれば未舗装路やぬかるんだ農道でも難なく走行でき、装備と利便性のバランスは驚くべき水準だ。

 さらに軽トラックには、資産価値が下がりにくいという側面もある。数年使用しても再販価格が安定しており、結果として実質的な所有コストはUTVより低くなる場合も珍しくない。加えてリフトアップやオフロードタイヤの装着によって、外観は一転して遊び心あふれるオフロード・トイに変化する。実用性を維持しつつ、自分のライフスタイルに合わせてカスタムできる自由度も、若い世代を惹きつける要因になっている。

 こうして見ていくと、米国の人々にとって軽トラックは、安く、頑丈で、快適だ。それに加えて趣味として楽しむこともできる。実用性と遊び心を同時に備えた存在として、合理性を追求した結果の選択肢になっているのである。

関連記事: