(注意喚起)サウナ閉じ込め時のApple Watchは本当に有効か?赤坂火災から学ぶ高温環境の限界

ガジェットブロガーのゴーゴシンゴです(@go5shingo

2025年12月15日、東京・赤坂の高級個室サウナで火災が発生し、30代の夫婦が死亡すると言う痛ましい事件が起こりました。

ドアノブが外れて脱出不能となり、非常ボタンが機能していなかった状況で、多くの人が疑問を持つようになったと思います。

そこでよく耳にしたのが「もしApple Watchを持っていたら、緊急通報で救助を呼べたのではないか?」と。

しかし、これはかなり危険と言うか間違った認識です。

今回はガジェットブロガー視点、またサウナ好きとしてサウナにおけるApple Watchはいかに脆弱についてかについて書きたいと思います。

Apple Watchの推奨動作環境—サウナは圏外

Apple公式ドキュメントによると、Apple Watchは「0度~35度の気温で快適に動作するように設計されている」。

一方、サウナ室の温度は80度~100度に達する。つまり、Apple Watchの推奨環境から45度~65度超過しているのだ。​

これは単なる「推奨値超過」ではなく、メーカー保証の範囲外での動作を意味する。

Apple Watch Ultra2などの高級モデルでも、最大対応温度は55度程度に止まり、サウ

ナ環境には対応していない。

つまり、現在市販されているすべてのApple Watchは、サウナでの安定動作を保証していないのである。​

高温環境での段階的な機能喪失

サウナ内でApple Watchを使用した場合、以下の順序で機能が失われると思われる。

初期段階(1~3分):セルラーモデルのモバイルデータ通信が失われ始める。この段階では、デバイスはまだ動作しているため、ユーザーは「まだ使える」と誤解する可能性が高い。

中期段階(3~10分):Wi-Fi接続が不安定になり、アプリが強制終了される。ディスプレイが暗くなり、操作が困難になる。

後期段階(10分以上):温度計表示が現れ、事実上のシャットダウン状態に陥る。この段階では、バッテリー膨張や内部基板の焼損といった危険性が高まっている。​

重要なのは、セルラー通信が喪失した時点で、デバイスの無線モジュール全体が既に不安定になっているということだ。

Appleの公式ドキュメントには「セルラー通信喪失後も緊急電話は利用可能」と書かれているが、これは常温環境を前提とした説明であり、高温環境では実現可能性が大幅に低下している。

よくサウナ内でApple Watchは問題なく使えるとSNSなどで意見が見られるが、実際には緊急通報などのシステムは作動しないと思われる。

緊急SOS機能の現実

セルラーモデルのユーザーは、「LTE経由での緊急通報が可能」という期待を抱きやすい。しかし、高温環境では以下の問題が発生します。

  • セルラー通信の喪失:高温によるネットワーク接続の不安定化により、緊急電話のリクエストそのものが基地局に到達しない可能性がある。​
  • ディスプレイの暗化:衛星SOS機能(Ultra2)や操作が必要な場合、画面が暗いため正確な操作が困難になる。​
  • 認知機能の低下:高温と煙による酸欠の影響で、ユーザーの判断力が急速に低下して操作ができない

つまり、セルラーモデルであっても、実際の緊急時に通報が成功する確率は、理論値より大幅に低いと思われます。

あくまでも正常な動作の範囲内で行われる動作になります。

逆に山岳遭難などの場合はApple Watchの正常な動作範囲内の可能性が高いので動作する可能性がサウナよりも高いです(衛星通信などを使用して電波をカバーするなど)

赤坂火災が示すもの

赤坂の事故では、非常ボタンの電源が入っていなかったことが判明しております。

これは、個人デバイスのスマートウォッチだけでは補完できない、施設側の根本的な責任を示唆しております。

さらに重要なのは、Apple Watchのバッテリー膨張のリスクだ。

リチウムイオン電池は高温で化学反応が加速し、膨張する危険がある。

実際に、Apple Watch着用中にバッテリーが膨張して火傷を負うケースも報告されている。

サウナの火災環境では、スマートウォッチのバッテリーが膨張・発火することで、火災をさらに悪化させる可能性さえあるので絶対に装着してはいけない。

利用者が守るべき現実的な対策

多くのサウナでは、一貫して「スマートウォッチをサウナに持ち込まない」よう推奨している。

これは単なる「機器保護」ではなく、生命安全に関わる重要な注意です。​

個室サウナを安全に利用するための最善の方法は以下になります。

  • デバイスは脱衣所に置く —施設スタッフの監視下に置く
  • 施設の安全体制を事前確認 —有人受付、非常ボタンの動作確認、ドア構造を確認
  • 少しでも異常を感じたら即座に退出 —高温環境での無理は禁物
  • 飲酒後の利用を避ける —判断力の低下で危機対応が遅れる

大阪府の注意喚起によると、サウナ施設は「出入口のドア開閉確認」「非常用ブザーの定期的な点検」を必須としている。

つまり、命を守る最後の砦は、ユーザーの個人デバイスではなく、施設側の構造的安全設計になるところが大きい。

あくまでもApple Watchは決められた環境で正しく使うことを徹底して欲しい。

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