ロシア軍が通勤バスをFPV自爆ドローンで攻撃、民間人9人死亡数十人負傷(JSF)

JSF軍事/生き物ライター
ウクライナ検察よりマルハネツでロシア軍のFPV自爆ドローン攻撃を受けた通勤バス

 4月23日、ウクライナのドニプロペトロウシク州マルハネツで鉱山労働者の民間人が多数乗った通勤バスがロシア軍に攻撃され、9人が死亡(うち8人が女性)、負傷者は数十人(記事執筆時点では49人)となっています。

Марганець:ウクライナ語マルハネツ(あるいはマルハネツィ)の意味は鉱物のマンガンからで、ロシア語ではマルガネツ。ドニプロ川(ドニエプル川)西岸の都市。

Сергій Лисак(ドニプロペトロウシク州軍行政府長官)

セルヒー・リサク、ドニプロペトロウシク州軍行政府長官のFacebookより被害を受けたバス

 攻撃はシャヘド136自爆ドローンのような固定目標しか狙えない長距離飛行用の大型機ではなく、ドニプロ川の対岸(東岸)のロシア軍支配領域から発進した小型の短距離のFPV自爆ドローンで行われています。移動目標を狙えるFPV(一人称視点)の遠隔操作型のドローンなので、操縦者が意図的に目標を狙ったことになります。どう見ても軍用車両には見えない真っ白に塗られた民間のバスをです。

ДСНС(ウクライナ国家非常事態庁)

ウクライナ国家非常事態庁より、被害を受けたバスから負傷者を搬送する様子

Такі російські удари по цивільних FPV-дронами, на жаль, не є рідкістю.

「そのようなロシアのFPVドローンによる民間人への攻撃は、残念ながら、珍しいことではない。」 

出典:Zelenskiy / Official

 ゼレンスキー大統領はこのようなロシア軍のFPV自爆ドローンによる民間人への意図的な攻撃は日常茶飯事だと説明します。ヘルソンの周辺やドニプロのニコポリやマルハネツ、そしてクピャンシクやポクロウシクなどが上げられています。これらの街は射程が短いFPV自爆ドローンが届く最前線付近の地域や大きな河川を隔てて対峙している地域になります。

 開戦からずっと、ロシア軍による民間目標への嫌がらせを目的とした致死的な攻撃は続いています。ロシア側は常に軍事目標を狙ったと説明し続けていますが、あまりにも民間への被害が多過ぎるので、目標が軍事目標なのか民間目標なのか全く気にせずに攻撃を続けているのでしょう。

 FPV自爆ドローンは目標をカメラで視認して突入する兵器であり、操縦者が目標を確認した意図的な攻撃です。この戦争でFPV自爆ドローンが投入される前には、爆撃型ドローンでも同じことが行われていました。3年以上、ずっと何も変わっていないのです。

軍事/生き物ライター

弾道ミサイル防衛、極超音速兵器、無人兵器(ドローン)、ロシア-ウクライナ戦争など、ニュースによく出る最新の軍事的なテーマに付いて兵器を中心に解説を行っています。

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