ハマック総裁、インフレの方が労働市場より「差し迫った懸念」

米クリーブランド連銀のハマック総裁は、金融政策を通じてインフレに下押し圧力をかけ続けるべきだとの見解を示した。インフレは過度に高く、米金融当局にとっては労働市場の弱さよりも依然として大きなリスクだと述べた。

  ハマック総裁は6日、ニューヨークのエコノミック・クラブでのイベントで、「高いインフレを引き続き懸念しており、政策はこれに対抗する方向で運営されるべきだ」と述べた。発言内容は事前原稿に基づく。

  同総裁はインフレ率が連邦準備制度理事会(FRB)の目標である2%に達するのは、2026年から1-2年後になるとの見通しを示した。連邦公開市場委員会(FOMC)メンバー19人の予想中央値とほぼ一致する。

  このことはFRBが「10年間の大半にわたって」インフレ目標を達成できないこと、および高水準のインフレが経済に定着するリスクがあることを意味すると、ハマック氏は述べた。

  その上で、「われわれの責務は目標未達であり、その規模と長さ、リスクを比較すると、私にとってはインフレの方がより差し迫った懸念事項だ」とし、「インフレを適切なタイミングで2%に戻すには、政策金利に関してやや景気抑制的なスタンスを維持することが必要だ」と主張。現行の金利水準は「かろうじて景気抑制的である」に過ぎないとの認識を示した。

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  一方、ニューヨーク連銀のウィリアムズ総裁はこの日、ドイツ・フランクフルトで講演し、12月会合での具体的な方針には言及しなかったものの、追加利下げの根拠となり得る見解を示した。同総裁は、債券市場が示す中立金利の推計は高過ぎると指摘。この主張が正しければ、FRBにはインフレ抑制を維持しつつ追加利下げを行う余地がなおあることになる。

  シカゴ連銀のグールズビー総裁は、インフレに関する公式データが不足しているため、利下げを進めることに、より不安を感じていると述べた。同総裁は経済専門局CNBCで「インフレ面で問題が生じていても、それを確認できるまでにはかなり時間がかかるだろう。だからこそ、私は一層の不安を感じている」と語った。

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  ハマック総裁は、管轄地域の企業から、コスト上昇に直面しているため近く販売価格に転嫁する必要があるとの声を聞いていると述べた。政府機関閉鎖により公式統計が得られない中、こうした企業の情報を重視しているという。

  同総裁は労働市場については「おおむね健全」だが、やや軟化していると指摘。その上で、「不確実性が後退し、企業が堅調な資本市場を活用するにつれて、来年の経済成長は10-12月期のペースから持ち直し、最終的には失業率に幾分下押し圧力がかかるとみている」と述べた。

原題:Fed’s Hammack Says Inflation a Bigger Concern than Labor Market(抜粋)

(NY連銀総裁やシカゴ連銀総裁のコメントなどを追加して更新します)

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