【海底で未知の巨大クレーターを発見】中国の深海探査艇、太平洋で生命誕生の手がかりに迫る(スペースチャンネル)
太平洋の深海で、新たな謎の世界が明らかになりました。 中国の研究チームは、パプアニューギニア北東の海底で、これまで知られていなかった巨大な熱水システム「クンルン」を発見。ここには直径1,800メートル、深さ130メートルに達する巨大クレーターを含む20以上の構造が存在し、豊かな生命が息づいていることが確認されました。
「失われた都市」を超える規模
日本海底にある熱水孔の例 出典:NOAA研究チームによると、クンルンは海底下から大量の水素が噴出しているのが特徴です。この水素は深海生物のエネルギー源となり、エビやヤドカリの仲間、イソギンチャク、チューブワームといった多様な生命が生息していることが分かりました。
太陽光が届かない深海では光合成は不可能ですが、ここでは「化学合成」によって生命が繁栄しています。水素などの化学物質を利用して栄養を作り出す仕組みは、地球最初の生命の起源を探る上で重要な手がかりとなります。
大西洋の海底山脈にある熱水フィールド「ロストシティ」出典:IFE, URI-IAO, UW, Lost City Science Party今回の発見は、大西洋の海底山脈にある熱水フィールド「ロストシティ」に似ています。しかし、クンルンはその何百倍もの規模を誇り、約11平方キロメートルにわたって広がっています。
また、通常このような熱水システムは海嶺(プレート境界)付近に形成されますが、クンルンはプレートの内部に存在する点で異例です。これは「地球内部の化学反応は予想外の場所でも起こり得る」という新たな証拠だと研究者は指摘しています。
水素と生命誕生の謎
蛇紋岩化が進みつつある岩石 出典:“Susan Lang, U. of SC. / NSF / ROV Jason /クンルンでは「蛇紋岩化」と呼ばれる反応が進行中です。これは、海水とマントルの岩石が化学反応を起こし、緑色の鉱物を生成しながら大量の水素を放出する現象です。クンルンの水素に満ちた環境は、太古の地球とよく似ており、生命が誕生した化学的条件を再現している可能性があると説明されています。
研究チームは有人潜水艇を使ってクンルンの地形を調査し、水素濃度を測定。その結果、このシステムだけで地球全体の海底水素非生物起源放出量の5%以上を占める可能性があると推定しました。
さらに、クレーターは段階的に形成されたと考えられています。最初に地下で水素が蓄積し、大爆発によってクレーターが開口。その後、亀裂から熱水が噴出し、再び鉱物で塞がることで、爆発と放出が繰り返されたとみられます。
深海から宇宙へ?
エウロパ内部のイメージ 出典:NASA/JPL-Caltechこの発見は、地球の生命誕生の謎に迫るだけでなく、他の惑星や衛星における生命探査にも大きな示唆を与えます。木星の衛星エウロパや土星のエンケラドゥスでも同様の化学環境が存在すると考えられており、クンルンはまさに「地球外生命研究の実験場」となり得るのです。
「クンルンは、これまでの常識を覆す発見だ。地球深部と生命誕生の関係を理解する新たな窓口になるだろう」と研究者は語っています。
皆さんは、地球と同じように異なる海洋天体の海底でも、このような生命活動が行われていると思いますか?ぜひコメントお待ちしています。
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