「生徒の誘い断れなかった」17歳教え子と性交した教師、LINEには「来る?さぁどうする?」法廷で追及

「生徒の誘いを断ることができなかった」

自身が顧問をつとめる部活動の女子生徒と複数回にわたって性交したとして、北海道青少年健全育成条例違反(淫行)の罪に問われた高校の男性教師は、法廷でそう繰り返した。

しかし、検察官が読み上げたLINEのやりとりからは、被告人自身が生徒を呼び出し、性的関係を持とうとしていたとも受け取れる様子が浮かび上がった。

一方、被害を受けた生徒は、顧問である被告人がほかの生徒を罵倒する姿を見てきたことなどから、誘いを断ることができなかったとうったえた。

被告人に対して、札幌地裁は9月28日、拘禁刑1年6カ月、執行猶予4年(求刑:拘禁刑1年6カ月)を言い渡した。

9月10日に開かれた初公判で、被告人は起訴内容を認めていた。教師と生徒という関係の中で、何が起きていたのか。法廷で明らかになった事件の経緯を報告する。(裁判ライター・普通)

被告人は30代の男性教師。スーツにメガネ姿で法廷に現れ、終始うつむきがちだった。声も小さく、聞き取りにくい場面があった。

起訴状によると、被告人は昨年10月から今年3月にかけて、自身が顧問をつとめる部活動の女子生徒Aさん(当時17歳)と計4回、性交したとされる。

そのうち3回は勤務先の高校にある化学準備室で、残る1回は部活動の遠征で宿泊したホテルだった。化学準備室は被告人が管理していたという。

被告人は起訴内容を認めた。

検察官の冒頭陳述などから、事件に至るまでの経緯も明らかになった。

被告人は複数の高校で教師をつとめたのち、2024年から事件当時の高校に勤務していた。同じく教師をしている妻と同居していた。

Aさんと関係を持つ前には、Aさんの先輩にあたるBさんとも性的関係にあった。Bさんと疎遠になったことをきっかけに、今度はAさんと性的関係を持つようになったという。

被告人はAさんとの性交の際、避妊をしていなかった。

事件が発覚したのは、Bさんが被告人とAさんの関係を知り、高校に連絡したことがきっかけだった。

被告人とAさんは、性的関係に至った経緯について、いずれも相手から誘われたという趣旨の供述をしている。

ただ、Aさんは被告人に恋愛感情はなく、別に交際相手もいたと説明。Bさんとの関係がうまくいかなくなったからといって、自分に乗り換えるような被告人の行動に強い嫌悪感を示している。

一方、被告人の妻は、事件当時、不妊治療を受けていた。Aさんとの最初の性的関係があったのは、妻の妊娠が判明したわずか3日後だったという。

妻は、本当に反省するのであれば被告人を許す意向を示しているという。

また、Aさんについては、刑事事件では被害者であるものの、不倫相手でもあるとして、慰謝料を請求する意向を示していた。しかし、その後、請求を取り下げた。

弁護人は、被告人が医療機関で性依存症と診断されたことを示す証拠を提出した。すでに治療も始めているという。

被告人質問では、Aさんと性的関係を持つようになったきっかけについて、次のように説明した。

「Bさんと関係が悪くなり、Aさんが『私が忘れさせてあげる』と。自分は、ストレスを抱えているとき、行為に及ぶことで落ち着くこともあり、誘いを断ることができず及んでしまいました」

被告人は事件を振り返り、「人として許されないことをした」「教師にもかかわらず」と後悔の言葉を口にした。

18歳未満の青少年との淫行を禁止する条例については、知識として知っていたものの、事件当時はその認識が抜けていたという。

なぜ、違法だと知りながら、生徒との性的関係を繰り返したのか。

被告人は、当時の自身の状態について、こう説明した。

「当時はストレスで体調を崩すこともあり、誰にも相談できず、一人で異常なまでの回数の自慰行為をするなどしていた。それが当時異常であるという認識もなく、心も落ち着かない中で、Aさんのことを性交できる相手と見てしまった。性依存症として、善悪の判断がつかなかったのかと思う」

現在は通院を続け、治療プログラムにも参加しているという。

Aさんからは500万円の慰謝料と、北海道外への転居を求められていることも明らかになった。

また、妻がAさんに対して検討していた慰謝料請求について、被告人は、紛争が長期化する可能性やAさんが未成年であることを考え、妻に取り下げてもらったと説明した。

弁護人から最後にAさんへの気持ちを問われると、被告人はこう答えた。

「大人の自分が止めれず、犯罪に巻き込み申し訳ないと思う」

しかし、被告人が繰り返す「誘いを断れなかった」という説明は、その後の検察官の質問によって、さらに詳しく問われることになった。

検察官は、被告人とAさんが交わしたLINEのメッセージを読み上げた。事件前日のやりとりは、次のようなものだった。

【事件前日】

被告人:明日どうする? Aさん:排卵日です。 被告人:じゃあ、セーフか。

【事件当日】

被告人:来る?さぁどうする? Aさん:行けますよ、化学準備室ですよね。 被告人:もういるよ。

このやりとりを踏まえ、検察官は被告人に問いかけた。

検察官:これって、あなたが誘ってるんじゃないですか? 被告人:呼んでいますけど、(性交を)するとは思わず。

検察官:排卵日が、とか言ってますか。 被告人:言ってますが、それは確認の意味として。

検察官:当時、どのように思っていたんですか? 被告人:ストレスで吐き気とかして、性交して忘れられるなら、苦しさから解放されたかった。

検察官:あなた渋々と言いますけど、LINEだとノリノリですよね。あと、性依存症の関係で、性交して解放されたいんですよね。 被告人:(性交)できるなら、という思いはありましたが、傷つけるのではという思いもありました。

被告人は、生徒からの誘いを断れなかったと説明する一方、自らAさんを呼び出し、性交によってストレスから解放されたいという思いがあったことも認めた。

また、避妊具を使用しなかった理由については「Aさんが痛がるため」と説明した。

教育委員会から生徒と私的なLINEをしないよう注意を受けていたことについても、「Aさんからも連絡が来てたので、LINEしてはいけない意識が抜けていた」と弁明した。

被告人質問のあと、Aさんの代理人をつとめる弁護士が、本人の意見陳述書を読み上げた。

そこには、被告人が繰り返してきた「誘いを断れなかった」という説明とは異なる、Aさん自身の心情が記されていた。

Aさんは、被告人が顧問として指導に従わない生徒を罵倒する様子を見てきたことなどから、誘いを断ることができなかったとうったえた。

また、事件発覚後も被告人から謝罪がない中、逆に被告人の妻から慰謝料を請求されることになり、強いショックを受けたという。

被告人は最終陳述で、それまでよりもさらに小さな声で「申し訳なかったと思ってます」と述べた。

この記事は、公開日時点の情報や法律に基づいています。

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