日経平均3万8000円回復、米中の関税引き下げ好感 伸び悩みも
[東京 13日 ロイター] - 13日の東京株式市場は米国と中国が追加関税の引き下げで合意したことを好感、3月26日以来の3万8000円台回復となった。前日比505円27銭高の3万8149円53銭と大幅続伸してスタートした後、800円超高となる場面もあったが、ショートカバーが中心とみられ、持続力には懐疑的な見方もある。
市場では「米中合意にはもう少し時間かかるという見方があったので、早く協議がまとまったという点ではポジティブなサプライズとなった。関税の引き下げ幅が想定より大きく、米中の交渉が長引くという思惑で消極的だった投資家のショートカバーを誘発している」(松井証券のシニアマーケットアナリスト・窪田朋一郎氏)との指摘が聞かれた。
日経平均は一時849円高に上値を伸ばし、2月21日以来、約3カ月ぶりの高水準を回復した。米関税発動前に長らくもみ合った3万8000円―4万円のレンジ内に水準を戻している。
<ドル/円は半値戻し>
外国為替市場でドル/円が148円近辺と円安基調になっていることも追い風となり、輸出関連株を中心に幅広く物色されている。前日の海外市場でドルは一時148.65円まで上昇した。
ドルは1月の年初来高値158円台から、4月安値の139円台までの下げ幅の半値戻しまで上昇した格好で、「このまま下げ幅をすべて埋めるような切り返しとなるかは分からないが、積み上がった円買いポジションの大きさなどを考慮すれば、150円付近へもう一段上昇する公算は十分にある」(三菱UFJモルガン・スタンレー証券のチーフ為替ストラテジスト・植野大作氏)との声が聞かれた。
三井住友トラスト・アセットマネジメントのシニアストラテジスト・稲留克俊氏は「安全資産としての国債需要をいったん弱める結果となり、日本国債先物は夜間取引から売られており、けさも売り先行、金利は上昇してスタートしている」と指摘。
稲留氏は、関税を巡る不透明感から日銀が利上げに動くことが難しいとの見方が幾分揺り戻されているとして「利上げ観測が多少高まっていることが中期・長期ゾーンの追加的な売り手掛かりとなっている」との見方を示す。
株式市場でも、東証33業種で銀行が値上がり率第2位となるなど、銀行株に買い戻しが入っている。
<米金利動向を注視>
目先の日経平均は、上昇ピッチが鈍化するとの見方も聞かれる。松井証券・窪田氏は、マーケットの関心は徐々に関税交渉から米国の財政問題に移っていくとみられ、金利が上昇しやすい環境になるのではないかと指摘。「株価が一番上がるのはショートカバーの局面。これまで順調に上昇してきたことも踏まえると、今後は上昇が鈍くなる可能性もある」と述べた。
T&Dアセットマネジメントのチーフ・ストラテジスト兼ファンドマネージャー・浪岡宏氏は「戻り待ちの売りが出ることが予想されるほか、今後は米金利動向にも注意が必要」だと指摘する。
浪岡氏は「米連邦準備理事会(FRB)がより利下げを急がなくなるとみられ、米金利の高止まりが続けば米株の上値が抑えられやすく、日本株もグロース株は厳しくなるかもしれない」と話した。
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