30年国債入札が試金石、超長期債の需要量る-金利急上昇リスク再燃も

5日の30年利付国債入札は投資家の超長期債への購入意欲を推し量る試金石となり、不調に終わると落ち着き始めた超長期金利が跳ね上がるリスクをはらむ。

  5月の20年債40年債の入札が低調で債券相場はその後に大幅に下落(金利は上昇)しており、同じゾーンの30年債入札への注目度は高い。3日の10年債入札は順調で、超長期債は発行減額の期待も出ている。それでも債券市場参加者は超長期債の投資家の購入意欲が乏しいことを懸念している。

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  トランプ米大統領の関税政策と景気の先行き不透明感を受けて、世界的に政府の支出と財政赤字の拡大懸念が強まっている。この中で日本銀行は政策金利を引き上げる方向で、国債買い入れも段階的に減らしている。さらに超長期債は主な買い手だった生命保険会社がボラティリティー(変動率)上昇を受けて買いの手を引いており、需給関係が悪化している。 

  岡三証券の長谷川直也チーフ債券ストラテジストは「投資家層が異なるため、10年債入札の好調な結果は30年債入札の安心材料にはならない」と指摘。発行計画の見直し期待が高まった後に迎えた40年債入札の結果が低調だったため、30年債入札に対する警戒感が強いと述べた。

懸念

  30年債利回りは入札を前にした4日、2.945%だった。5月下旬に記録した過去最高水準3.185%からは低下しているが、30年債入札の結果次第で利回りが再び急上昇することを懸念する声は根強い。

  T&Dアセットマネジメント債券運用部の浪岡宏チーフ・ストラテジスト兼ファンドマネジャーは、30年債の入札結果が予想より弱ければ超長期債の利回りが急上昇するリスクがあるとした上で「10年債の利回りも大きく押し上げられる可能性がある」と述べた。

  超長期債利回りの急騰を受けた5月末に財務省は市場参加者に国債発行額に関する意見と現在の市場状況を尋ねるアンケートを送付した。国債発行額の調整を検討していることを示唆している。

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  りそなアセットマネジメントの藤原貴志チーフファンドマネジャーは「財務省による発行減額が期待されているので、30年債入札が最近のようにひどく悪い結果になるとは思わない」と予想した。同時に「慎重にならざるを得ないのも事実だ」と述べている。

  日銀は16、17日に金融政策決定会合を開き、昨年7月に決めた2026年1-3月までの国債買い入れ減額計画の中間評価と同年4月以降の買い入れ方針を議論する。植田和男総裁は3日、市場が注目する来年4月以降の国債の買い入れ額について「減らしていくことが適切との声が多く聞かれた」と言及した。

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