「入ったら楽」母の言葉を信じて名門私立中で不登校 今思うこと
「私立中に入れば、その後が楽になるから」
母の言葉を信じて中学受験し、第1志望の私立中高一貫校に進学した。都内の歴史ある男子校で、毎年多数の東大現役合格者を出す進学校だった。
偏差値の高い学校に進学すれば、良い大学、良い会社に入れて、その後の人生は楽になり、幸せになれる――。母はそう信じていた。
ところが、いざ中学に入学すると、校風が合わず、「燃え尽き症候群」で勉強のやる気も起きなくなってしまった。
それから27年。大人になった進藤康晃さん(仮名、39歳)は、自身の子ども時代を振り返り、過熱する令和の中学受験ブームに何を思うのだろうか。
<主な内容> ・塾のストレス…抜毛症になった小学生時代 ・名門校に進学後の現実 ・不信感を募らせ、不登校に ・「SOSを見ないふりした」、母の後悔 ・中受を考えている親子に伝えたいこと
第42部「令和のリアル 中学受験」は9月22日、23日に公開します。
「既定路線」だった中学受験
埼玉県の都市部の出身。運動が苦手で、おとなしい性格の一人っ子だった。
中学受験は既定路線で、小学4年生のときに塾に入った。
塾の雰囲気になじめず、ストレスから自ら毛を抜いてしまう「抜毛症」になってやめたが、5年生になると、母は再び別の塾に通わせた。その塾にもなじめず、6年生の夏にやめたが、秋からは家庭教師を付けられた。
5年生の頃から父は仕事で遠方に単身赴任中で、専業主婦の母が主導で教育方針を決めていた。
塾は苦手だったが、勉強自体は苦ではなかった。歴史や星座の仕組みなど、新しい知識を学ぶのはおもしろく、解けなかった算数の問題が解けるようになっていくのは楽しかった。
ただ、本音を言えば、小学校の友達ともっとテレビゲームをして遊びたかった。
「自分事じゃなかった」
勉強と並行して、各校の見学会にも連れて行かれた。第1志望校に選んだのは、偏差値ランキングでトップ10に入る都心の名門校だ。
進藤さんは鉄道が好きで、鉄道研究会があることが気に入ったが、いま振り返ると、校風や授業カリキュラムを理解していたわけではなかった。
晴れて合格したが、親が喜んでいたことが何よりうれしかった。「やっと解放された」とも思った。
「言われるがまま、母の敷いたレールをそのまま進んだという感じでした。試験で緊張したり、合格して喜んだりした記憶もありません。あまり自分事じゃなかったんです」
名門中で待っていた現実
新品の学ランに身を包み、電車で片道1時間かけて登校した。
だが、入学して早々、違和感を抱いた。
クラスメートの男子たちのノリ…
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