何が原因? 北米でホオジロザメの死体が複数打ち上げられる謎現象発生
ホオジロザメに不可思議なことが起こっているみたい。
これまで1度もカナダの海岸でホオジロザメの死体が見つかったことなんてなかったのに、この1年で5頭も打ち上げられたと話題になっています。外傷はなく、原因は不明なんですって。
このニュースを報じたIFLSによれば、アメリカの海域でも同じようなホオジロザメの死体が4頭も見つかったらしく、専門家も頭を悩ませているとのこと。
原因不明の脳炎が流行っているらしい
ホオジロザメの死体は稀に打ち上げられますが、シャチなどに襲われて激しく損傷している個体ばかり。でも、カナダとアメリカの海域で見つかったホオジロザメの死体に目立った外傷はなく、さらに餓死の兆候も見つかっていません。
詳細な検査をしたところ、脳が異常に膨張していて「脳炎」を発症していたことがわかったそうです。
脳炎とは、脳組織やその周辺の膜が炎症を起こす病気で、進行すると正常な行動ができなくなって泳いだり餌を取ったりするのが難しくなる可能性が指摘されています。
海岸に打ち上げられたのも、脳炎によるものらしいのです。
脳炎が発症した原因はわからない
ただ、問題はなぜ脳炎が引き起こされたのか。実はここが解明されていないんです。
そもそも、野生のサメやエイがどんな病気にかかるのか、十分に理解されていない状態なのだとか。
サメの研究機関であるOCEARCHの主任を務めるハーレー・ニュートン博士は「同じ種のサメが短期間で複数死亡し、脳炎の兆候が見られるのは非常に気になります。野生のサメの健康全体にどのように影響しているのかはわかりません」と話しています。
現在、ニュートン博士はサウスカロライナで発見されたサメの脳組織を遺伝子分析にかけて、ウイルスや細菌が関与していないか調査しています。
すぐに原因が解明できるとは思っていませんが、新たなサンプルを集めることでサメの病気について理解を深め、個体群にどんな影響があるのか明かしていきたいです。
ホオジロザメの数は増えつつあるけど
ホオジロザメは絶滅の危機に瀕しているといわれていましたが、現在は数を増やしつつあります。そして、この個体数の増加が死体打ち上げの原因ではないか、という意見もあるみたい。
冒頭で、「ホオジロザメの死体が打ち上げられるのは稀」と書きましたが、カナダの海洋動物レスキュー機関であるMarine Animal Response Societyのトーニャ・ウィマー氏は「ホオジロザメの個体数が増えてきたから死体をみる機会も増えたのでは」という見解を述べています。
脳炎の原因が解明しない限り何もわかりませんが、もしそうならちょっとは楽観視できるのかな…?
Source: IFLS, discover wildlife