Geminiが強すぎて「ChatGPTのテコ入れ」が決定したらしい(ギズモード・ジャパン)

字面の割にいいニュースかもしれない。 2025年11月下旬に登場したGoogleの最新AI「Gemini 3 Pro」が報道や評価サイト、SNSでかなりの高評価を集めています。「ChatGPTはオワコンなの?」と気になっていたところ、ChatGPTを展開するOpenAIが危機感を覚え開発計画を変更したという報道が。 【全画像をみる】Geminiが強すぎて「ChatGPTのテコ入れ」が決定したらしい 米メディア「The Information」が入手した社内メモによると、OpenAIのサム・アルトマンCEOが社内向けに「コードレッド(非常事態)」を宣言。ウワサされていた広告導入などの予定を見送りChatGPTのコア性能/機能の向上を最優先する方針を打ち出したそうです。

コードレッドが出たのは、Geminiの追い上げが想定以上だったから。 AInvestによれば、Geminiのアクティブユーザーはこの夏から秋にかけて4億5000万人規模から6億5000万人規模へと急増しているというデータがあるそうです。それが今回の好評でさらに勢いづいたら? ChatGPTも週次で8億人超と凄まじい利用者を抱えAIアシスタント市場の約7割を占めるとされていますが、成長には歯止めがかかるのではないでしょうか? ここに「収益の見通し」が絡んできます。ChatGPTのサブスクリプション収入が今年およそ100億ドル、来年にはその倍近くに、2027年までに350億ドルに達すると見込まれていますが、成長が鈍ればそうはいかなくなります。 アルトマン氏は「ChatGPTにとって極めて重要な局面だ」と社員に伝えたそうです。短期的な収益よりも「いまこの瞬間の体験品質」で首位を守ることが、将来の資金調達や事業継続の前提になると強く訴えたのです。

そしてOpenAIは、ここ数か月進めてきた広告ビジネスや商用プロジェクトをいったん凍結、その分のリソースをChatGPTの改善に振り向ける決断をしました。 具体的には、チャット画面に広告を表示する実験やユーザーの履歴をもとにパーソナライズ広告を出す構想、ショッピングや健康相談を代行するAIエージェントやニュースや情報を個別に要約して届ける「Pulse」という機能が、優先度を下げられたとされています。 代わりに注力されるのは、ユーザーの好みや履歴を反映するパーソナライズ機能の強化・画像生成AIの高性能化・LMArenaのようなAI比較サイトで評価される「AIの振るまい」の実現・正当な質問まで拒否してしまう「過剰な拒否」を減らす調整などなど。来週にはGemini 3を上回る性能の新しい推論モデルを投入する予定もあるようです。 OpenAIがGoogleに対してこれほどまでの反応を示したことに驚きました。今のGeminiはそれだけスゴイのです。 ただ、ChatGPT派にとってはそんなに悪い話でもない気が。画像生成能力はGeminiとの差をもっとも感じる部分で、推論性能──賢さは高ければ高いほどいい。そういった改善されて嬉しい部分が優先されて後回しになるのは広告です。ウェルカムでしかない。 OpenAIとGoogleには一生競争してて欲しいかも。苛烈な競争が「よりユーザー的に好ましいAI」を実現してくれるかもしれませんから。 Source: The Information via AInvest

かみやまたくみ

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