再建断念し破産“夢の電池”再スタート決意 解任CEO「特許取り戻す」新会社設立
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“夢の電池”と言われる次世代技術を開発していた福井県の会社が破産しました。これまで蓄積したデータや技術はどうなるのか、番組が取材すると、解雇された従業員を集めて新会社を立ち上げる動きがあることが分かりました。
■再建図るはずが「連絡ない」5カ月給与未払い
世界初となる次世代電池の開発を目指していた会社が、4月下旬に突然破産。社員にとっても「寝耳に水」のことでした。
APB社を巡っては、設備の先行投資などがかさみ赤字が続くなか、経営権を巡る対立もあり、資金繰りが悪化。それでも経営陣は3月の時点では、社員に対して破産ではなく民事再生法の適用を申請し、「経営再建を図る」と説明していました。
関係者から入手した、その時の説明会の映像です。
通常の2倍の蓄電能力と発火や爆発リスクの低さから、“夢の電池”とも言われる「全樹脂電池」。開発していたAPB社には、経産省が所管する「NEDO」が75億円を、福井県と越前市も合わせて5億円の補助金を支出していました。
経営再建から一転、破産に至った経緯とは?番組がAPB社の社長を取材しました。
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■「放っておけない」解任CEOが再スタート決意元々APB社を立ち上げたのは、日産自動車で世界初の量産型EV「リーフ」の車載用電池を開発し、日産のレジェンドの1人にも数えられる堀江英明氏(68)です。
しかし、社内で対立があり、去年8月にCEOを解任されました。日本中から集めた技術者や開発中の技術はどうなるのでしょうか?
前CEOの堀江氏と、先月までに退職した社員らが取材に応じました。
「(Q.きょう集まった人たちは?)元APBの方で、私と一緒にやっていきたいと強く思っている方に、ここにご参集を頂いていて。そもそも私も経営者として、APBを作ったわけでありますから、まさかこんな事態になって、放っておくということは絶対ないわけでありますので。新しい会社をしっかり立ち上げて、そこに入って頂くという選択をしました。これは私の選択というよりか、皆様からの強いご要望を頂いた結果でもあります」
行き場がなくなった社員を救うため、APB社と同じ福井県に新しい会社を立ち上げたといいます。今回、堀江氏の会社に入ることを決めた社員はこう話します。
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■解任CEO「特許取り戻す」「日本を豊かに」一方で、堀江氏が最も懸念しているのが、自ら開発し、APB社に帰属している「全樹脂電池」の特許の行方です。
APB社が破産し特許などの知的財産は、破産管財人の弁護士に管理・処分できる権利があります。
「(Q.特許が戻ってこないと難しい?)そうですね。これは非常に大事だと考えています」
新会社で“夢の電池”は実現できるのでしょうか?
(「グッド!モーニング」2025年5月6日放送分より)