カリフォルニア高速鉄道にトランプ政権のメス、1280億ドルに予算膨張

米カリフォルニア州の高速鉄道プロジェクトに、トランプ政権のメスが入ることになった。予算超過と工事遅延にさいなまれている同ベンチャーは果たして完工までこぎ着けられるのか、長年の疑念がさらに深まっている。

  ダフィー運輸長官は20日、このプロジェクトをコンプライアンスとパフォーマンスの両面で連邦鉄道管理局が検証すると発表。2008年当初にカリフォルニア州高速鉄道当局がはじき出したコストは推定330億ドル(約4兆9000億円)で、2020年には運行を開始することになっていた。有権者はこのプロジェクトのために90億ドルの債券発行を承認した。しかし現時点で着工しているのは、全長776マイル(約1249キロメートル)のうち、わずか119マイルだ。当局が現時点で推計するコストは、890億ドルから1280億ドルのレンジに膨れ上がった。

  ダフィー長官はプレスリリースで「予算を大幅にオーバーし、工事が遅れているカリフォルニア州高速鉄道プロジェクトを、納税者はあまりにも長期にわたって助成してきた」と批判。今後も納税者にこのプロジェクトを負担させるべきかどうかを調査し、決定するという。

  このプロジェクトは長い間、政治的な駆け引きの対象とされてきた。どの政党が政権に就いているかで、その運命が変わる。トランプ氏は最初の大統領任期中、連邦政府と州の合意を破棄し、10億ドル近い資金拠出を取りやめた。その後バイデン政権になり、2023年には30億ドルの資金が提供された。

  トランプ氏は今月、「こんなに管理のずさんなプロジェクトは見たことがない」と記者会見で同鉄道プロジェクトについて述べた。

  米監察総監は今月のリポートで、2033年までに第1段階の乗客輸送を開始するという目標について、達成の見込みは非常に低いと評価した。さらにマーセドとベイカーズフィールド間のセントラルバレー地区については、65億ドルの資金が不足しているとも、リポートは指摘した。

  20日の運輸長官発表には、鉄道を支持するカリフォルニア州の民主党議員から強い反発が寄せられた。ウィーナー州上院議員はトランプ氏がプロジェクトを打ち壊そうとしていると非難。「近代的で統合された鉄道システムである高速鉄道は、カリフォルニア州の将来に欠かせないものだ」と声明で表明。「カリフォルニア州に近代的で全州を網羅する鉄道システムがないのは、恥ずべき事態だ。トランプ氏は支援の手を差し伸べるのではなく、この恥を長期化したいと考えている」と批判した。

原題:Trump Targets $128 Billion California High-Speed Rail Project(抜粋)

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