「Mac mini」一部モデルは注文できず入手困難に 背景にAI需要か
最近、アップルの「Mac mini」や「Mac Studio」の納期が数か月先に伸びたり、注文受付を停止していたりと、入手困難な状態に陥っていることが話題になっています。
アップルの決算会見ではCEOのティム・クック氏が説明する事態になり、背景に想定を上回るAI需要を挙げています。
一部モデルは注文不可 背景にAI需要か
ここ数か月、Mac miniとMac Studioは徐々に入手が難しくなっており、3月にはMac Studioの「メモリ512GB」モデルが、5月に入ってからはMac miniの「ストレージ256GB」モデルが選択肢から消え、注文できない状態になっています。
5月4日時点での状況として、Mac miniは最小構成モデルなら5月末から6月上旬に届くものの、メモリを増やすと「9〜10週間」または「現在注文できません」となります。Mac Studioについても注文受付を停止するモデルが増えているようです。
Mac Studioでメモリ128GB以上の構成を選択すると「現在注文できません」となる(アップルのWebサイトより、筆者作成)5月1日(米国時間)の決算発表ではティム・クック氏がこの問題に言及し、AIやエージェントツールに想定を上回る需要があること、その需要と供給のバランスがとれるまで数か月を要するとの見通しを示しています。
また主な供給制約はメモリではなく、SoCを製造するための先端ノードにあるとも語っています。単にメモリを調達してくれば済む話ではなく、Appleシリコンの生産が追いついていない印象を受けます。
背景として挙げているのがAI需要です。AIに必要なハードウェアといえばNVIDIA製のGPUを思い浮かべる人が多いかと思いますが、用途によってはMacが向いている場合があります。
まずは高速かつ大容量のメモリが有効な場合です。一般的なパソコン用のCPUとメインメモリの関係とは異なり、AppleシリコンのユニファイドメモリはGPU用のVRAMに匹敵する速さがあり、LLMの巨大なモデルを読み込むのに適しています。
しかも価格はメモリ512GBの構成でも150万円程度と「格安」です。パソコンとしては高価に見えますが、NVIDIA製品で同じことをやろうとすれば1000万円以上かかると思われることから、用途に合うならコスパの良い選択肢といえます。
一方、Mac miniの注文が殺到しているのは「OpenClaw」のようなAIエージェント用途とみられます。セキュリティ面で物理的に隔離したいというニーズがある中で、自宅で常時稼働できる静音性があり、手頃な価格で世界のどこでも入手しやすいといった理由で選ばれている印象を受けます。
AI用途以外にも、Mac miniはデスクトップ型Macとしてコスパの良い選択肢であり、入手困難になるのは消費者にとって困った事態といえます。「MacBook Neo」がある程度カバーしてくれるとはいえ、10万円以下のモデルがなくなってしまうのは残念なところです。
「ローカルAI」需要は高まるか
アップルの製品ラインナップから消えたモデルについても、中古や整備済製品の流通は続いています。今後は争奪戦が激しくなるかもしれません。
メモリ512GBのMac Studioも、「認定整備済製品」の在庫はときどき入荷しているようだ(アップルのWebサイトより、筆者作成)筆者は仕事用マシンとしてM4 MaxモデルのMac Studioを使っており、メモリは128GBの構成を選択しました。これくらいの容量があると、仕事用にブラウザなどを動かしつつ、基本的なLLMで遊ぶこともできます。
性能や実用性という点ではChatGPTのようにクラウド上で提供されるAIのほうが優れているように思うので、ローカルAIはあまり使っていないのですが、今後はクラウドのAIについても値上げは避けられないとの見方が出てきています。
もしクラウドのAIが大幅に値上げするような事態になれば、ローカルで動かして節約したいというニーズが高まり、Macの人気をさらに押し上げることになりそうです。
(やまぐち けんた)1979年生まれ。10年間のプログラマー経験を経て、2012年にフリーランスのITジャーナリストとして独立。日経クロステック(xTECH)やASCII.jp、ITmedia、マイナビニュースなどの媒体に寄稿し、2021年からは「Yahoo!ニュース エキスパート」として活動しています。