ドイツ議会、歳出法案を採決へ-財政拡大政策への大転換の始まり
ドイツ連邦議会(下院)は18日、防衛およびインフラ支出に向けたの何千億ユーロもの借り入れを可能にする法案を採決する。財政拡大政策への大転換の始まりとなる。
次期首相が有力視されるメルツ氏が率いる保守系会派と社会民主党(SPD)は先週、緑の党との間で合意。同法案を連邦議会で可決させるのに必要な3分の2の賛成票確保のめどが立った。
可決されればドイツの16の州が代表を出す連邦参議院(上院)が21日採決し承認すれば、シュタインマイヤー大統領が署名して法律が成立する。
メルツ氏率いる中道右派のキリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)陣営とSPDは次期政権樹立に向けた協議を行っているが、それに先立ち大幅な歳出拡大を可能にしようと取り組んでいる。トランプ氏の米大統領復帰に端を発する地政学的な激変への対応を急ぐ。
何が起こるか
ドイツ連邦議会の審議は現地時間午前10時に始まり、午後1時30分に終了する予定。各党の議員が演説を行い、討論の最後に投票が行われる。
CDU・CSU陣営、SPD、緑の党を合わせると520議席となり、ドイツの憲法改正に必要な3分の2を31票上回る。
投票は通常20分ほどで終了し、約10分の休憩を経て議長が結果を発表する。採決は午後遅くにずれ込む可能性もある。
法案の内容は
防衛および安全保障関連の支出として、国内総生産(GDP)の1%、つまり約450億ユーロ(約7兆4000億円)を超える額が、ドイツ憲法に盛り込まれた借り入れ制限、いわゆる「債務ブレーキ」から除外される。実質的にGDPの1%を超える支出に上限がなくなることを意味する。
同時に、予算外の特別なインフラ基金が憲法に組み込まれ、今後12年間に5000億ユーロを上限として借り入れを行うことが可能になる。
さらに、16の州にはGDPの0.35%、160億ユーロ相当までの借り入れの余地が与えられる。これまでは州が均衡予算を維持することが求められていた。
今後はどうなるか
CDU・CSU陣営とSPDは連立協議を急ピッチで進め、遅くとも復活祭(4月20日)までには合意に達する見通し。
CDU・CSUが2月の選挙で勝利して以来、暫定内閣として政権運営を行っているSPDのショルツ氏からメルツ氏が首相の座を引き継ぐために、連邦議会の承認を確保する道筋が整う。
原題:German Lawmakers Vote on Landmark Spending Bill: What to Watch(抜粋)
—取材協力:Michael Nienaber、Kamil Kowalcze、Arne Delfs.翻訳記事に関する翻訳者への問い合わせ先:東京 木下晶代 [email protected]
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