「トランプ・プット」催促相場に、選挙後の株高が反転へ-BofA
昨年11月の米大統領選挙後にS&P500種株価指数が描いた上昇軌道は現在、下げに転じ始めている。反転が鮮明になればトランプ米大統領による介入への期待が急速に広がるだろうと、バンク・オブ・アメリカ(BofA)のストラテジストらはみている。
S&P500種は2月に3%近く下落。トランプ関税による摩擦が世界貿易戦争に発展するとの不安が一因だ。大統領選挙前の営業日だった11月5日には5783で引けており、現在はこの水準をわずか約1%上回るに過ぎない。ブルームバーグがまとめたデータによれば、選挙後の騰落でみると採用500銘柄の約半分が下落している。
11月5日の終値水準は「トランプ・プットにおける最初の行使価格だ。これを割り込むと、現時点でリスクロングの投資家は政策当局者による口先の市場支援を強く期待し、必要とするだろう」とBofAのマイケル・ハートネット氏はリポートで指摘した。
選挙後の米株式相場は大きく揺れ動いている。テスラの時価総額は11月5日以降、一時7300億ドル(約109兆9700億円)膨らんだ。しかし株価が12月17日に上場来高値を更新したのを最後に時価総額は縮小し、すでに6000億ドル余りを失った。エヌビディアとアルファベット、マイクロソフト、アマゾンも人工知能(AI)トレードの失速とともに、時価総額を大きく削らされた。
BofAのハートネット氏は株価と国債利回り、ドルの一段下落を受けた政策対応として、一番考えられるのは政策金利の引き下げと、サウジアラビアと原油価格引き下げで合意することだと話す。減税措置や債務上限引き上げを前倒しする可能性も考えられるという。
リスク資産にとって最も強気な帰結は、米国が中国と貿易協定を結ぶ可能性を「匂わせ始めることだ」とハートネット氏。最もありそうにないシナリオとしては、トランプ氏がさらなる関税で応じることだという。
ハートネット氏は今週、トランプ氏にとって株式市場は「信号機であり、進むべきか止まるべきかを教えてくれる」と解説。S&P500種は今年、国外の主要株価指数に比べて低迷していることを踏まえ、投資家は今後の軌道に「疑いの目を向けているようだ」とリポートで強調した。
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原題:‘Trump Put’ Looms as S&P Reverses Election Rally, BofA Says (1)(抜粋)