オアシスが豊田織株保有、「TOB価格は不公正」-経営陣と対話へ
香港のヘッジファンド、オアシス・マネジメントのセス・フィッシャー最高投資責任者(CIO)は6日、ブルームバーグとのインタビューで、トヨタ自動車や豊田自動織機の株式保有を明かし、豊田織への株式公開買い付け(TOB)価格引き上げを求め、経営陣と対話していく方針を示した。
フィッシャー氏はTOB価格を「まったく公正とは考えていない」と批判。「中核事業を著しく過小評価しており、価格算定評価の前提も明示されていない。保有する不動産の価値評価も不十分で、この取引は急ぎすぎている」と述べた。自らが考える適正価格についてはコメントを控えた。
その上で、豊田織の経営陣と面会し、「適正価格を実現するべく関与していくつもりだ」と述べた。まずは経営陣と非公開の場で対話をし、それでも解決できなければ、より積極的に声を上げていくつもりだという。ほかの株主との連携を視野に、トヨタなどすべての利害関係先と対話していく意向だとした。トヨタ、豊田織の株式保有比率についてはコメントしなかった。
報道を受けて豊田織の株価は上げ幅を拡大、一時前日比1.5%高となる1万6500円を付けた。終値は同0.9%高の1万6400円だった。トヨタ株は前日比ほぼ横ばいの2652円でこの日の取引を終えた。
トヨタなどが3日に公表した豊田織へのTOB計画では、買い付け価格が1株当たり1万6300円と発表直前の株価を約11%下回る水準で、市場に失望が広がっていた。オアシスは伊藤忠商事による対ファミリーマートTOBで価格が安過ぎたとして法的措置に打って出るなど、時に強硬手段をいとわない投資家として知られるだけに、交渉の行方が注目される。
フジHD、京セラ
また、フィッシャー氏は、元タレントによる性的トラブルに揺れるフジ・メディア・ホールディングスについても株式を保有していると明らかにした。一方で「決定を左右できるほどの議決権を持っているわけではない」とし、保有比率には言及しなかった。
同社は25日に定時株主総会を開催予定で、会社側が提案する取締役候補とは別に、株主で米投資ファンドのダルトン・インベストメンツが独自に取締役候補を提案している。フィッシャー氏はダルトンが提案した候補は「全体として良い」と評価し、中でもSBIホールディングスの北尾吉孝会長兼社長のことを「SBIの経営を良いと思うし、彼のことは高く評価している」とし、取締役に選任されるべきだとの考えを示した。
フィッシャー氏は、京セラが26日に開催予定の定時株主総会で、山口悟郎会長と谷本秀夫社長の取締役再任案に反対する意向を示した。オアシスは5月、京セラの構造改革案が不十分だとして自己株買いの実施などを求める声明を公表していた。米国の議決権行使助言会社インスティテューショナル・シェアホルダー・サービシーズ(ISS)が両氏の再任案に反対を推奨した、と今月に入って日本経済新聞が報じていた。
参考記事豊田織株大幅安、「ディスカウントTOB」失望-非公開化に賛否
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