博物館に70年間保管されていた「マンモスの骨」が実はまったく違う動物の骨だったことが判明

サイエンス

マンモスは約400万年前から地球上に生息していた毛皮のあるゾウのような動物で、一部の個体群を除き1万4000~1万年前に絶滅したことが知られています。そんな「マンモスの骨」として70年以上にわたり博物館に保管されていた骨が、最新の調査で実はまったく違う動物の骨だったことが明らかになりました。

Adopted “mammoths” from Alaska turn out to be a whale's tale - Wooller - Journal of Quaternary Science - Wiley Online Library

https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/jqs.70040

'Mammoth' Bones Kept in a Museum For 70 Years Turn Out to Be An Entirely Different Animal : ScienceAlert https://www.sciencealert.com/mammoth-bones-kept-in-a-museum-for-70-years-turn-out-to-be-an-entirely-different-animal

ドイツの考古学者兼探検家だったオットー・ガイストは1951年、アメリカのアラスカ州内陸部のフェアバンクス近郊で、砂金発掘作業中に「2体の哺乳類の脊椎骨」を発見しました。

骨の外観や発見された位置を基に、これらの骨はマンモスのものと推定されました。実際、この地域では12万6000年前から1万1700年前にあたる後期更新世の大型哺乳類の骨が多く出土しており、背骨の大きさからもガイストがマンモスの骨と推定したのは妥当だったとのこと。

以下は実際にガイストが発見した哺乳類の骨。これらの骨はアラスカ大学北方博物館に持ち込まれ、70年以上にわたり「マンモスの骨」として保管されてきました。

2022年から、アラスカ大学北方博物館が収蔵しているマンモスの放射性炭素年代測定を体系的に行う「Adopt-a-Mammothプロジェクト」がスタートしました。その一環としてガイストが発見した2つの骨も調査されましたが、意外なことにこれらの骨は「1900~2700年前のもの」という結果が出ました。

多くの地域において、マンモスは1万4000~1万年前に絶滅したと考えられており、最後までマンモスが生き残っていたとされる北極海のウランゲリ島でも約4000年前には絶滅したとみられます。そのため、仮に「1900~2700年前にアラスカでマンモスが生息していた」という発見が事実だとすれば、歴史を塗り替える重大な発見となります。

しかしアラスカ大学の研究チームは、「そもそもこの骨は本当にマンモスのものなのか?」という点を疑ってさらに詳しい調査を行いました。研究チームは放射性炭素データとそれに関連する安定同位体データを分析し、骨の持ち主がどのような食生活を送っていたのかを推測しました。

その結果、2つの骨にはマンモスのような「草食の陸生動物」の一般的な含有量をはるかに超える量の窒素15炭素13が含まれていることがわかりました。 これらの同位体は陸上動物にも見られることがありますが、海中ではより多く見られるため、一般に海洋動物の体内に多く蓄積する傾向があります。アラスカ内陸部に生息するマンモスがこれらの同位体を多く蓄積する可能性は低いため、ガイストが発見した骨は大きさなども合わせて考えるとクジラのものである可能性が高まりました。 研究チームはマンモスとクジラの専門家に意見を求めましたが、標本の状態を考えると形態だけでマンモスかクジラかを判別することは困難だと判断されたため、DNAを抽出して分析することにしました。細胞核に含まれているDNAは劣化が激しいせいで抽出できなかったものの、ミトコンドリアDNAの抽出には成功したため、クジラのミトコンドリアDNAと照合したとのこと。

分析の結果、2つの骨から抽出されたミトコンドリアDNAはセミクジラミンククジラのものであることが明らかになりました。 これにより、新たに「1000年以上も前のクジラの骨が、なぜ最寄りの海岸線から400kmも離れたアラスカ内陸部で発見されたのか?」という疑問が浮上しました。この疑問について研究チームは、以下の4つの可能性を挙げています。 1:古代の入り江や河川を通じてクジラが内陸部までさかのぼってきたという説。しかし、アラスカ内陸部の水域が小さいことやエサに乏しいことから可能性は低い。 2:クマなどの動物がクジラの死骸を運んだという説。確かにクマはクジラの死骸を食べるものの、死骸を遠く離れた場所に移動させたという観察例は乏しい。 3:古代の人々が交易などでクジラの死骸や骨を内陸部まで運んだという説。アラスカ内陸部ではクジラの骨が用いられた考古学的証拠はないものの、他の地域ではクジラの骨を内陸まで運んだ事例がある。 4:ガイストが博物館に寄贈した際に取り違えが起こったという説。ガイストは1951~1953年にかけてアラスカ各地で積極的に化石を収集しており、その中には沿岸部のコレクションも含まれる。 研究チームは、「結局のところ、この問題は完全に解決されないかもしれません。しかし、Adopt-a-Mammothプロジェクトに関しては、これらの標本を最後のマンモスの候補から除外することに成功しました」と述べました。

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