AIモデルがAI関連株への投資手控え促す、好成績のファンドの秘訣

ウォール街で人工知能(AI)がもてはやされるようになるはるか前から、ダニエル・マール氏は機械学習モデルを活用して株式で利益を上げてきた。

  同氏のAI搭載モデルは最近、AIブームのまさに中心にある企業への投資を控えるよう容赦なく警告を発している。

  マール氏の旗艦ファンドである「フェデレーテッド・ハーミーズ」ファンドを動かしているトレーディングプログラムは2023年以降、エヌビディアなどのテクノロジー銘柄に対してネガティブなシグナルを発し続けている。

  大手テクノロジー株は今年2月以降に2兆ドルを失い、割安な株価に目をつけた買い手が参入した。しかしマール氏のプログラムからのシグナルは変わっていない。

  AIを駆使した投資戦略の実績はまちまちだが、マール氏(43)は市場をけん引してきたテクノロジー株をアンダーウエートにしながら、近年市場を上回るリターンを上げてきた。

  同氏は大手テクノロジー株について、「下落したからといって割安になったわけではない。いずれも依然としてかなり割高だ」と指摘。さらに「多くの企業について、一般的に好ましくないとわれわれが考えているのはボラティリティーだが、ここ数週間でボラティリティーが低下した兆候は見られない」と述べた。

  「マグニフィセント・セブン」と呼ばれるエヌビディア、アップルマイクロソフトアマゾン・ドット・コムメタ・プラットフォームズアルファベットテスラへの投資を避けていることは、マール氏のファンドに不利に働きはしなかった。

  同氏が運用する16億ドル(2400億円)規模の「フェデレーテッド・ハーミーズMDTオール・キャップ・コア・ファンド(QIACX)」は、過去5年で年26%のリターンを達成。ラッセル3000指数を5ポイント近く上回り、98%の同種ファンドを成績で上回っている。

  年初来では1.4%の下落となっているが、市場全体と比較するとその損失は少ない。

  同氏のファンドは、特定の株式を多く保有する一方で、同じ業界の他の銘柄を少なく保有することで、幅広いセクターでニュートラルな状態を維持しようとする。

  QIACXはベンチマークと比べマグニフィセント・セブン株の保有を少なくしている。マール氏のモデルが現在、買いを推奨している分野の一つは産業セクターだ。

  マール氏のモデルが他と一線を画しているのは、いわゆる決定木分析(デシジョンツリー)を採用している点だ。データをツリー構造に分けて分析する手法で、それぞれの枝は企業を好むべきか避けるべきかを判断するための投資要因を表している。

  異なる業界や企業は、異なる要因に基づいて評価される。この柔軟なアプローチにより、モデルが新しい情報に素早く適応できるだけでなく、多様なポートフォリオを生成することが可能になるとマール氏は説明。

  「このプロセスの目標は、ホームランを狙うこととは対照的に、一貫したパフォーマンスを達成することだ」と述べた。

原題:AI Model Driving Top-Ranked Fund Flashes a Warning on AI Stocks(抜粋)

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