今年は太陽が活発になる「極大期」。その表面はこんな見た目です

Image: NSF/NSO/AURA

ヘーゼルナッツでできたお菓子のようにも見えるこちらの画像ですが、これは世界最大の太陽望遠鏡がとらえた太陽の表面です。

地球からおよそ1億5000万キロメートル離れた太陽の表面を、これまででもっとも鮮明に映し出しています。

磁場が描く「光の縞模様」

アメリカ国立科学財団(NSF)の科学者らによる研究チームは、ハワイ・マウイ島の火山の頂上にそびえ立つ高さ約4メートルの「ダニエル・K・イノウエ太陽望遠鏡」を使って、太陽全体に波打つ磁気ストライプや、光を変化させるはためくカーテンのような磁場を明らかにしました。

この最新の観測結果は、天体物理学専門誌『The Astrophysical Journal Letters』に掲載されています。太陽の磁場が太陽表面のダイナミクスをどのように形作り、宇宙天気にどのような影響を与えるかについて、新たな知見をもたらしています。

Image: NSF/NSO/AURA

この縞模様(ストライエーション)は、太陽光球(太陽の表面)にある「粒状斑(グラニュール)」と呼ばれる太陽内部の対流層の壁面を横切って。波のように広がっています。粒状斑とは、太陽内部から熱いガスが上昇して表面に達することで生じる領域です。縞模様の幅はおよそ20キロメートル。これはニューヨークのマンハッタンとほぼ同じ大きさですが、太陽の巨大さに比べると非常に小さなスケールです。

この縞模様は、カーテンのような形状をした磁場のシートが太陽表面に沿って波打ち、移動することで生じます。粒状斑の壁からの光がこれらの磁場を通過すると、その光がちらつき、明るさが交互に変化するように見えるのです。この明暗の変化は、基盤となる磁場の状態を示しており、磁場が弱い部分では暗く、相対的に強い部分では明るく見えます。

太陽の活発化で通信障害が発生

科学者たちは、太陽表面の磁気構造を研究することで、太陽の爆発、フレア、コロナ質量放出の背後にある物理現象を理解し、宇宙天気をより正確に予測したいと考えているようです。

なお、太陽は11年の周期で活動が活発になったり弱まったりすることがわかってますが、昨年からは活動が非常に活発になる「極大期」に入っています。その影響で、世界中で壮大なオーロラが観測されている一方、電力網の障害や無線通信の途絶も多発。

科学者たちは何世紀にもわたって太陽を観測していますが、宇宙天気についてはまだまだ知らないことだらけなようです。

関連記事: