熊本:くまモンが「知ってほしか」と訴える「一生忘れられない」出来事とは : 読売新聞

 「“あのとき”のボクの気持ちば知ってほしかモン!」。熊本県のPRキャラクター「くまモン」が今年3月、デビューから15周年を迎えたのに合わせて、その歩みをまとめた初めてのエッセー本「くまモンの『ボクのきもち』」(辰巳出版、税込み1650円)を出版した。すっかり人気者になったくまモンに、今の気持ちを聞いてみた。(読売中高生新聞編集室 大前勇)

デビュー15周年

15周年の思いを答えるくまモン

 「みなさんのおかげで15周年ば迎えられたモン! ありがとうございますだモン!」。3月下旬、東京都内で取材に応じたくまモンは、スケッチブックを見せながら、元気よくポーズを決めてくれた。

人が少ししか集まらなかった大阪でのイベントに登場するくまモン(2011年2月)@2010熊本県くまモン

 くまモンが誕生したのは、2010年3月12日。翌年3月に予定されていた九州新幹線の全線開通を前に、熊本県のアピールを任せられた。ただ当時は無名で、大阪に出張して路上で名刺を配っても、受け取ってくれる人はまばらだったという。

 ところが、日本一のゆるキャラを決める11年の「ゆるキャラグランプリ」で優勝すると、人気に火が付き、ファンは国内外に広がっていった。

全国へ支援を呼びかけて…

 そんなくまモンが「一生忘れられない」というのが、277人が亡くなった16年4月の熊本地震だ。

熊本地震からの復興への思いを答えるくまモン

 震災後はしばらく活動を控えていたが、翌5月には避難所などを訪れ、活動を再開。被災した人たちを励ましたり、全国各地で 復興(ふっこう) への支援を呼びかけたりしてきた。

 地震の発生から、まもなく9年を迎える。くまモンは「みなさん、応援ありがとうだモン。復興に向けてこころをひとつにだモン!」とメッセージをくれた。

ゆるキャラグランプリで優勝し、祝福されるくまモン(「くまモンの『ボクのきもち』」から)

 関連グッズの売り上げが21年に1兆円を超えるなど、今や日本を代表するゆるキャラとなったくまモン。今後も、笑顔と元気を届ける復興のシンボルとして活躍してくれそうだ。

ライターが証言「九州豪雨ではぞうきんを手に…」

 エッセー本では、15年間にくまモンが感じてきたことがつづられている。

くまモンの「ボクのきもち」(辰巳出版)

 くまモンを追い続けているライターで、この本の企画、構成を担当した亀山早苗さんは「くまモンは地元のために 一生懸命(いっしょうけんめい) で、ふるさとへの愛がすごく大きいのが魅力」と語る。20年の九州 豪雨(ごうう) の時には、被害が大きかった地域の飲食店を訪れ、ぞうきんを手に、 浸水(しんすい) して泥だらけになった店の掃除を手伝っていたこともあったという。

 亀山さんは「これまでの活動の写真もたくさん紹介しているので、注目してください」と話している。

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