中国軍事パレード、中ロ朝3首脳の結束アピール 最新ミサイルも公開

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北京=畑宗太郎

2025年9月3日、北京での軍事パレードに出席する、中国の習近平国家主席(中央)とロシアのプーチン大統領(左隣)、北朝鮮の金正恩総書記(右隣)。スプートニク提供=AP

 中国の習近平(シーチンピン)指導部は3日、抗日戦争(日中戦争)の勝利から80年を記念する式典を北京の天安門広場で開いた。ウクライナ侵攻を続けるロシアのプーチン大統領、北朝鮮の金正恩(キムジョンウン)総書記と並び立ち、結束を強調。米国に対抗しうる勢力だとアピールした。

 金氏の訪中は約6年半ぶりとなった。中朝は関係低迷が指摘されてきたが、トランプ米大統領が金氏との対話に意欲を見せる中で、中国が北朝鮮の「後ろ盾」としての影響力を示した格好だ。

 中国メディアによると、式典には中央アジアや東南アジアなどを中心に26カ国の首脳級が出席。一方で、日米や欧州の主要国はプーチン氏の出席などを理由に首脳の派遣を見送り、欧米との溝は鮮明となった。

 式典前、中国国営中央テレビ(CCTV)は真ん中を歩く習氏の左右にプーチン、金両氏が寄り添い、3人で親しげに会話する様子を中継。習氏がこれらの国の盟主的な立場にあると印象づける構図となった。

 習氏は抗日戦争をめぐり、「中国人民は巨大な民族的犠牲をもって世界平和のために多大な貢献をした」と演説。「戦争の根源を消し去ることで、歴史の再びの悲劇を防ぐ」と述べた。ウクライナ侵攻の停戦をめぐり、「危機の根本的な原因を取り除く必要がある」としてきたロシアの主張に配慮した可能性がある。

 習氏はさらに自らが今世紀半ばまでを目指すとする「世界一流の軍隊」の建設を加速するとし、「中国人民は歴史の正しい側に立ち、平和発展の道を歩む」と訴えた。

 また、「国家の主権と統一、領土の完全性を断固として守る」とも言及し、悲願とする台湾の統一への決意もにじませた。一方で、日米両政府への批判や言及はなかった。

 約6年ぶりの軍事パレードでは、核弾頭の搭載が可能な最新鋭とみられる大陸間弾道ミサイル(ICBM)「東風(DF)61」や、大型の水中ドローン無人機)などを公開。陸、海、空で使用する無人装備を多く公開し、無人化や人工知能(AI)化、情報化が進んでいることを前面に打ち出した。

 世界一の軍事力をもつ米国に、最新技術の面でも肩を並べる意図を示す狙いとみられる。

 米トランプ政権の「米国第一」が従来の国際秩序を揺さぶる中、米欧中心の国際秩序に異を唱える中国としては好機とも映る。第2次世界大戦の戦勝国の立場を示すとともに、大国として世界の多極化をリードしていく姿勢を印象づけた。

 ロ朝の首脳は式典後、北京市内で会談。プーチン氏は北朝鮮のロシアへの派兵に感謝し、金氏もロシア支援を継続する考えを示した。

 両首脳はプーチン氏の公用車に同乗して会場に到着。1対1を含めて会談時間は約2時間半に及び、親密さを増す両国の関係を示した。

 中国の習近平(シーチンピン)指導部は3日、抗日戦争(日中戦争)の勝利から80年を記念する式典を北京の天安門広場で開いた。2019年の建国70周年以来、約6年ぶりとなった軍事パレードでは、最新の兵器などを公開した。

 式典にはウクライナ侵攻後も中国と良好な関係を保つロシアのプーチン大統領の他、対中関係の冷え込みが指摘されてきた北朝鮮の金正恩(キムジョンウン)総書記が出席。中ロ朝の3首脳は式典開始前から笑顔で談笑。天安門の楼上に並び立ち、米国をにらんだ対抗軸の結束を印象づける形となった。

 中国メディアによると、式典には中央アジアや東南アジアなどを中心に26カ国の首脳級が出席。21年のクーデターでミャンマーの全権を握ったミンアウンフライン国軍最高司令官も出席した。

2025年9月3日、北京での軍事パレードで車に乗って閲兵する中国の習近平国家主席=ロイター

 一方、日米や欧州連合(EU…

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この記事を書いた人

畑宗太郎
中国総局
専門・関心分野
中国の外交、安全保障、社会、東南アジア情勢

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