NASAが「新月の画像」を公開、最新の太陽圏観測衛星で不可能が可能に(Forbes JAPAN)

5月27日は新月だった。新月の日は、月が全く見えなくなる。だが、本当にそうだろうか? 【画像】太陽圏観測衛星「PUNCH」と撮影した宇宙の虹 新月のとき、月は地球から見て太陽と同じ方向にある。その姿は太陽の輝きに隠れてしまい、地球上の私たちの目には見えない。月が最も謎に包まれる1日と言っていいだろう。だが、米航空宇宙局(NASA)の新しいミッションはこのほど、最新の太陽圏観測衛星と「地球照」と呼ばれる現象のおかげで、新月の姿を撮影することに成功した。 ■新月とは 月は、日本時間27日正午過ぎ(12時2分)に月齢0の瞬間を迎え、太陽と地球に挟まれてほぼ一直線に並んだ。このとき、地球から見えている月の表側は完全な暗闇に包まれた。この瞬間を、天文用語で「朔」と呼ぶ。なお約2週間後にも、こんどは地球を間に挟んで太陽、地球、月が一直線に並ぶ瞬間が訪れるが、こちらは天文用語で「望」と呼ばれる。すなわち満月だ。 ■「スーパームーン」の新月 27日の新月は、地球から約36万44kmの距離にあり、今年3番目に地球に近い「スーパームーンの新月」だった。スーパームーンとは、地球との距離が近い状態の月を指す俗称である。天文用語では、地球の中心から月の中心までの距離を「月の地心距離」と呼ぶ。月は地球の周りを楕円軌道で公転しているため、地心距離は増減する。月が軌道上で最も地球に近づく位置を「近地点」、最も遠ざかる位置を「遠地点」という。 ■劇的な新月の画像、NASAが初公開 NASAは2025年3月11日、4機の小型衛星を連携させてコンステレーションとして運用する太陽圏観測衛星「PUNCH」(Polarimeter to Unify the Corona and Heliosphere:コロナと太陽圏を統合する偏光計)を打ち上げた。PUNCHは米サウスウエスト研究所(SwRI)が主導するミッションで、太陽の外層大気の最も外側にあるコロナが太陽風となる仕組みの解明を目指している。 このPUNCH衛星が、4月27日に太陽のそばを通過する新月のユニークな画像の撮影に成功した。先週初めて公開されたこの1枚は、皆既日食のとき以外で初めて撮影された新月の姿だ。 ■PUNCHはどのようにして新月を撮影したか この画像は、PUNCH衛星の1つに搭載された狭視野カメラによって撮影された。観測機器の調整作業中、地球に向いた月面が地球上で反射した太陽光に照らされてほのかに光る「地球照」という現象が生じたため、完全な影となっているはずの新月を撮影できた。地球照は、地球上の氷冠や雲、海洋が反射した太陽光が月面を照らす現象だ。 画像に写った黒い円はカメラに設置された遮光板で、これが太陽光を遮断することで太陽のコロナや太陽風の発生源の撮影ができる仕組みとなっている。PUNCHの観測機器は調整作業中に「宇宙の虹」も撮影した。 ■次の満月 次の満月は2025年6月11日で、日本時間午後4時44分に「望」となる。6月21日の夏至のちょうど10日前だ。6月の満月は、米先住民の農事暦で「ストロベリームーン」と呼ばれる。この時期に北米で野イチゴが熟し、収穫期を迎えることに由来する名称だ。今年12回ある満月のうち、6回目にあたる。

Jamie Carter

Forbes JAPAN
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