「プロV1」と「V1x」はどっちがどう人気?女子プロの本音を探ってみた

◇国内女子◇Vポイント×SMBC レディスゴルフトーナメント◇紫CC すみれC(千葉)◇6668yd(パー72)

女子プロのクラブをチェックしていて、撮影頻度の一番多いのがタイトリストのボール「プロV1シリーズ」だ。開幕戦「ダイキンオーキッドレディス」の使用率は、同シリーズが36.1%で堂々1位。フィールド108人中39人が使っていた。それだけ女子プロに人気があるわけだが、いったい何を基準に「プロV1」(以下V1)と「V1x」(以下X)をチョイスするのか? 逆にもう一方を選ばないのか? 我々アマチュアにも大いに参考になるはずなので、使用選手にヒアリングしてみた。

39人の内訳はV1が20人、Xが17人、「プロV1x レフトダッシュ」(以下レフトダッシュ)が2人。やはりというか、V1とXはけっこう肉薄している。さらにそのほとんどが25年の新モデルにスイッチしていた。

まず話を聞いたのは「V1x(23年)→V1(25年)→V1x(25年)」と替えてきた蛭田みな美だ。「ダイキンオーキッド―」は新V1、2戦目「Vポイント×SMBCレディス」は新Xだった。「冬にテストしたときは、『V1』の方が『X』よりドライバーのスピン量が少なかったんです。『V1』は2300~2400回転で収まって、『X』は2800回転ぐらいいっちゃってました。それで『V1』でいこうとなったんですが、開幕して気温が上がると、『X』の方がスピンが安定していて、アプローチでも(スピンが)入りましたし、アイアンも球が浮くしスピンが入る。だから結局『X』にしました」

同じく「レフトダッシュ→V1x(25年)」に替えたのが佐久間朱莉。「昨年まではドライバーのスピン量がちょうど良くてレフトダッシュを使っていたんです。でもアプローチでは初速が強い印象があって…。新しいV1xを試したら、ドライバーのスピン量が安定して、なおかつグリーン周りのスピンもしっかり入っていました。替えない手はないなって」

さらに今季からプロV1シリーズを初めて使っている高橋彩華。昨年まで他社のボールだったが、オフにテストを重ね、最終的にXを選んだ。「スピンが増えて打ち出しも上がったので、純粋に飛距離が伸びました。結果、アイアンも含めて全体的に前に行く。V1も打ちましたが、打感とスピン量を考えると迷うことなくXでした」

海の向こうからも新ボールの話題が入ってきた。リディア・コー(ニュージーランド)が長年使ってきたXをV1に替えて、今季の4戦目「HSBC女子世界選手権」で優勝を飾った。変更理由は、スピン量。タイトリスト関係者によると「彼女から開幕戦の途中で連絡があり、Xよりもスピンが少し少ないものを探していることが分かりました。(翌週の)ファウンダーズカップの練習場でV1(25年)をテストしたら、まさに彼女が求めていた結果が得られました」とか。

一方、新しい25年モデルにスイッチしなかった選手もいた。申ジエ(韓国)だ。23年モデルのV1で戦っている。タイトリストのボール担当者は「新しいV1、Xも試してもらうと『V1(25年)を打ったらXかと思いました』って言ったんですよ。確かに性能上、初速がほんのちょっと速くなっていますが、それを感じとれる感覚がすごい。いろんな選手にヒアリングする中で初速に関しては初めて言われました」と驚く。「特にグリーン周りで、彼女の中でちょっと飛び出しが速いんでしょう。『芝もまだ薄いし、速く飛び出されると怖い。芝の生えそろうサロンパス(5月)ぐらいまでこのままいかしてください』と言われて。さすがワールドランク上位者は説得力があると思いました」

プロのボール選び、少しは参考になっただろうか。機会があれば他のメーカーのボールの話も聞いてみたいと思う。(編集部・服部謙二郎)

関連記事: