【今すぐ遊べる】量子コンピュータの仕組みが超簡単にわかる衝撃的なゲームとは?(ダイヤモンド・オンライン)

 量子コンピュータが私たちの未来を変える日は実はすぐそこまで来ている。 そんな今だからこそ、量子コンピュータについて知ることには大きな意味がある。単なる専門技術ではなく、これからの世界を理解し、自らの立場でどう関わるかを考えるための「新しい教養」だ。 『教養としての量子コンピュータ』では、最前線で研究を牽引する大阪大学教授の藤井啓祐氏が、物理学、情報科学、ビジネスの視点から、量子コンピュータをわかりやすく、かつ面白く伝えている。今回、藤井氏にインタビューを実施。量子コンピュータの仕組みが学べるゲームについて聞いた。(取材・構成/小川晶子) ● 量子コンピュータのことが学べるゲーム  ――藤井先生は、総合IT企業ティーアイエス社と共同で『QuantAttack(クアントアタック)』というパズルゲームを発表されています。このゲームを通じて量子コンピュータの原理や基本の計算を学ぶことができるそうですが、どのようなゲームなのか教えてください。  藤井啓祐氏(以下、藤井):僕はもともとゲームが好きで、自分が絶対に勝てるように(笑)得意なものをゲームにしました。それがQuantAttackです。  量子コンピュータのアルゴリズムを設計しているとき、今の量子コンピュータはそれほどパワーがないので、できるだけ無駄な計算を省くというプロセスがあるんです。  たとえば1を足したあとに1を引くという操作があった場合、結果は元に戻るので省略できますよね。量子回路を見て、そういう無駄な操作をしているところを見つけては消し、コンパクトにして最適化していくんです。  量子コンピュータを黎明期から触っている人は、これが絵的にわかって「はい、これは無駄」「これも無駄」と消しいていくことができます。数式で説明することもできるのですが、パターンマッチングに近いんですよ。  そこで、量子コンピュータの中の回路をコンパクトにするのをパズルゲームにして、皆さんに遊んでもらおうと思ったのがきっかけです。 ● 量子コンピュータ研究の入口  ――このゲームに強くなったら、量子コンピュータ研究の入口に立てるかもしれないですね。  藤井:そう思います。  実はこのゲームもうまくできていて、最初は適当にガチャガチャ動かしていればいいのですが、高得点を出すためには複雑なルールでブロックを消す必要があるんです。その複雑なルールをゲームの中で身に着けた後、量子コンピュータの何に対応しているのかを学べば理解が早いと思うんですよ。  たとえばH、X、Hの3つが消えてZになるのですが、その背景には行列のかけ算が隠れています。「消える」というのは、単位行列と呼ばれる行列になることに対応しており、すべて数学的に説明ができるんですね。  ですから、このゲームにハマった人が、ルールについて調べるなかで「これは行列でもっと簡単に説明がつくじゃないか」と気づいたりしたらもうこっちのものです。量子コンピュータの世界へようこそ。  今iOSに向けてバージョン2を作っています。  バージョン2のほうがよりルールを理解しないと得点が上がらないようになっています。このバージョン2を含めて、研究室公開を秋の大学祭で行ったところ、老若男女500名ぐらいの方が来てくれました。  ゲームを一度プレイしてもらうと、その後の説明を聞いてもらいやすいことを実感しました。いきなり量子コンピュータの話を始めると一瞬で眠たくなるところ、「ゲームの中にこういうブロックがあったと思いますが、あれは〜」と話すとよく聞いてもらえるんです。  ――今後、日本の量子コンピュータ業界が盛り上がっていくためには、関わる人が増えたほうがいいですもんね。  藤井:そうなんです。ぜひ若い世代に興味を持ってもらいたいのですが、中学生に量子コンピュータの話を真正面からしてもなかなかピンと来ないでしょう。  ですから入口としてゲームはいいんじゃないかなと思っています。 ● 量子コンピュータが一気に広がる世界  藤井:量子コンピュータにはさまざまな可能性がありますが、体感できるレベルで「変わったな」と感じるには一般消費者が使える状態になる必要があるのかなと思います。AIにしても、ChatGPTなどを一般消費者が使うようになって、一気に世界が変わった実感がありますよね。  そういう意味では、量子コンピュータがどういうBtoCの展開をして世界を変えるのかというのはまだわかっていません。これがわかったら、イーロン・マスクやビル・ゲイツになれると思うんですけどね。ぜひ誰かに見つけてほしい。  もしかしたらゲームはその一つかなという気はします。  量子コンピュータを使ったゲームがすごく面白ければ、一気に広がるかもしれません。AIが仕事をしてくれて、暇だから量子コンピュータのゲームで遊ぶか、というシナリオもあるのかな。  そのあたりはまだわかりませんが、量子コンピュータのBtoC展開も視野に入れて、みんなで研究していきたいですね。  (※この記事は『教養としての量子コンピュータ』を元にした書き下ろしです。)

藤井啓祐

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