未治療マントル細胞リンパ腫に対するカルケンスとトレアキシン+リツキサンの併用、無増悪生存期間を有意に改善

[公開日] 2025.05.14[最終更新日] 2025.05.13

2025年5月1日、医学誌『Journal of Clinical Oncology』にて、65歳以上の未治療マントル細胞リンパ腫(MCL)に対するブルトン型チロシンキナーゼ阻害剤(BTK)であるカルケンス(一般名:アカラブルチニブ)とトレアキシン(一般名:ベンダムスチン)+抗CD20抗体リツキサン(一般名:リツキシマブ)併用療法の有効性、安全性を検証した第3相試験(NCT02972840)の結果が、MD Anderson Cancer CenterのMichael Wang氏らにより公表された。 本試験は、65歳以上の未治療MCL患者(N=598人)に対して、28日を1サイクルとして1日2回カルケンス(N=299人)またはプラセボ(N=299人)100mg+1,2日目にトレアキシン90mg/m2+1日目にリツキサン375mg/m2を6サイクル投与後、維持療法としてリツキサンを病勢進行もしくは予期せぬ有害事象(AE)が発現するまで最大2年間投与し、主要評価項目として独立評価委員会判定(IRC)による無増悪生存期間(PFS)、副次評価項目として客観的奏効率(ORR)、全生存期間(OS)を比較検証したランダム化二重盲検下プラセボ対照多施設共同の第3相試験である。 本試験の追跡期間中央値44.9ヶ月時点における結果、主要評価項目であるPFSは、カルケンス併用群で66.4ヶ月に対してプラセボ群で49.6ヶ月と、カルケンス併用群で病勢進行または死亡のリスクを27%統計学的有意に改善した(ハザード比:0.73,95%信頼区間:0.57-0.94,P=0.0160)。なお、PFSの改善効果は、ハイリスク患者も含む全てのサブグループで確認された。 副次評価項目であるORRは、カルケンス併用群で91.0%に対してプラセボ群で88.0%、完全奏効率(CR)はカルケンス併用群で66.6%に対してプラセボ群で53.5%をそれぞれ示した。OSの中央値は、両群間で統計学的有意な差は確認されなかった(ハザード比:0.86,95%信頼区間:0.65-1.13,P=0.27)。 一方の安全性として、グレード3以上の有害事象(AE)発症率は、カルケンス併用群で88.9%に対してプラセボ群で88.2%をそれぞれ示した。 以上の結果よりMichael Wang氏らは、「65歳以上の未治療MCLに対するカルケンス+トレアキシン+リツキサン併用療法は、PFSを統計学的有意に改善し、有害事象も管理可能でした」と結論付けた。 参照元: Acalabrutinib Plus Bendamustine-Rituximab in Untreated Mantle Cell Lymphoma(Journal of Clinical Oncology 2025 doi:10.1200/JCO-25-00690)
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