トランプ氏、プーチン氏とハンガリーでの会談で合意 ウクライナ和平への「非常に生産的な」電話協議で
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アメリカのドナルド・トランプ大統領は16日、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領と電話で協議した。トランプ氏は終了後、プーチン氏とハンガリー・ブダペストで直接会談することで合意するなど、「大きな進展」があったと発表した。
トランプ氏とプーチン氏はこの日、8月以来となる協議を行った。
電話協議は「非常に生産的」なものだったと、トランプ氏は述べた。来週には直接会談に向けて両国の代表団が対面で協議するという。
トランプ氏は、プーチン氏との会談日程について明言しなかった。
一方、クレムリン(ロシア大統領府)も、「極めて率直かつ信頼に満ちた」電話協議を終え、「直ちに」首脳会談の準備を開始すると表明した。
両首脳の電話協議は、翌17日にウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領のホワイトハウス訪問を控えたタイミングで行われた。トランプ氏は、ロシア深部への攻撃を可能にする長距離巡航ミサイル「トマホーク」のウクライナへの供与を検討している。
トランプ氏との会談に向けてアメリカに到着したゼレンスキー氏は、ロシア政府は「トマホークの(供与を検討しているという)話を聞いて、対話を再開しようと焦っている」と指摘した。
電話協議を終えたトランプ氏は、自分のソーシャルメディア「トゥルース・ソーシャル」に、プーチン氏と「ウクライナとの戦争が集結した後のロシアとアメリカの貿易について、多くの時間を割いて話し合った」と投稿した。
そして、アメリカとロシアの「高位の側近たち」が来週にも対面で協議するとしたが、場所は明かさなかった。アメリカの代表団はマルコ・ルビオ国務長官が率いるという。
プーチン氏との協議内容については、17日にゼレンスキー氏に報告するとし、「今日の電話協議で大きな進展があったと確信している」と付け加えた。
トランプ氏はその後、プーチン氏と「2週間以内に」会う見込みだと、記者団に述べた。
電話協議後、ウクライナへのトマホーク供与の見通しについて問われたトランプ氏は、アメリカのトマホーク備蓄を「使い果たすわけにはいかない」、「我々にも必要だ。(中略)だから、それについて我々に何ができるかは分からない」と答えた。
ウクライナのオルガ・ステファニシナ駐米大使は、トランプ氏とプーチン氏の電話協議の数時間前にロシアがウクライナに夜間攻撃を仕掛けたと指摘。「ロシア政府の和平に対する本当の姿勢が露呈した」とした。
ステファニシナ駐米大使はBBCがアメリカで提携するCBSに宛てた声明の中で、「これらの攻撃は、ロシア政府の戦略が恐怖と疲弊を生み出すのを目的としていることを示している。これに対する効果的な唯一の対応は、より厳しい制裁や防空体制の強化、長距離兵器の供与によって圧力をかけることだ」と述べた。
ハンガリーのオルバン・ヴィクトル首相は、米ロ首脳がブダペストで会談する計画について、「平和を愛する世界の人々にとって素晴らしい知らせだ」と、ソーシャルメディアに投稿した。
オルバン氏は先に、「平和には忍耐と力、そして謙虚さが必要だ。欧州はその姿勢を転換すべきだ。傲慢(ごうまん)に振る舞い、終わりのない戦争をあおり立てるのではなく、ロシアとの交渉が必要だ。対話だけが欧州大陸に平和をもたらすことができる」と述べていた。
トランプ氏はこの会談で、ウクライナでの戦争終結に向けた包括的な和平交渉に参加するよう、プーチン氏を説得したいと考えていた。
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ただ、ホワイトハウスとクレムリンからはそれ以来、トランプ氏とプーチン氏が連絡を取り合っているとの発表はなかった。
トランプ氏は昨年の米大統領選で、自分なら数日以内でウクライナでの戦争を終わらせられると主張していた。しかし今では、この紛争の解決は、ホワイトハウス復帰後に自分が関わったどの紛争よりも難しいと認めている。
当初はジョー・バイデン前米大統領よりもロシア寄りと見られていたトランプ氏は、2月28日にはJ・D・ヴァンス副大統領とともにゼレンスキー氏を激しく非難し、同氏との関係は悪化した。ホワイトハウスでの激しい口論の様子は、生中継された。
しかしここ数週間で、ゼレンスキー氏との公的な関係性は大幅に改善している。
ゼレンスキー氏のワシントン訪問は、今年に入って3回目。17日の会談ではトマホークの供与が主要議題になるとみられる。
ゼレンスキー氏はトマホークをウクライナへ供与するようアメリカに求めている。トマホークは、最大射程2500キロメートルの高性能ミサイル。
トランプ氏は12日、トマホークを供与する可能性について、「様子を見る。(中略)そうするかもしれない」と記者団に述べていた。
トランプ氏は7月下旬、2週間以内に停戦に応じなければ包括的な制裁を科すと、プーチン氏に伝えた。この制裁には、ロシアとの貿易を続ける国々に対する措置が含まれるとした。
しかし、プーチン氏がアラスカ州での会談に応じたため、トランプ氏がこの脅しを実行に移すことはなかった。アラスカ会談では具体的な成果はなかったものの、トランプ氏は外交上の大きな成功だと称賛した。