ジブリ作品の仰天事実 『ラピュタ』ドーラの過去は有名だけど…『魔女宅』おソノさんも強烈だった

個性的なサブキャラクターが登場することの多いスタジオジブリの作品には、本編では描かれなかった驚きの裏設定を持つ人物もいます。『魔女の宅急便』や『もののけ姫』、『天空の城ラピュタ』にも、設定を知ると見え方が変わってしまいそうなキャラクターがいました。

肉を食う空中海賊、ドーラ。画像は『天空の城ラピュタ』静止画より (C)1986 Hayao Miyazaki/Studio Ghibli

「スタジオジブリ」のアニメーション映画には、主人公はもちろん、多くの魅力的なサブキャラクターが登場します。そして作中でそれぞれに存在感を発揮させる彼らのなかには、それまでのイメージが一変してしまうような裏設定を持つ人物もいました。

 1989年に公開された『魔女の宅急便』(著:角野栄子)には、主人公の「キキ」が下宿することになる「グーチョキパン屋」のおかみさんである「おソノ(通称:おソノさん)」が印象的です。夫と一緒にパン屋を切り盛りするおソノさんは明るく親切な女性で、親元を離れて魔女の修行するキキの理解者のひとりとして描かれています。

 実は、おソノさんには、「青春時代にはそれなりにツッパった経験を持つ」過去があったと『魔女の宅急便』の劇場パンフレットで明かされました。さらに、2013年に刊行された書籍『ジブリの教科書5 魔女の宅急便』(文春ジブリ文庫)には「もしかしたらゾク(暴走族)だったのかも」というスタッフの意見が記され、エンディングの1案として「(赤ちゃんを産んだ後のおソノさんが)バイクに乗る」場面もあったようです。

 続いて、1997年に公開された『もののけ姫』で「タタラ場」の指導者として登場する女性「エボシ御前」です。作中での彼女は、森を支配する「シシ神」の首を取ったり、「ナゴの守」を撃って「タタリ神」にしてしまったりと、神をも恐れない強いリーダーとして描かれていました。

 1998年に出版された書籍『「もののけ姫」はこうして生まれた。』(徳間書店)では、本編では描かれなかったエボシ御前の壮絶な過去が明かされています。彼女はかつて海外に売り飛ばされ、そこで倭寇(わこう ※海賊のこと)の頭目の妻になり、やがて夫を殺して、金品と石火矢の技術を手に入れ、日本に帰ってきたというのです。

 作中でエボシ御前は、身売りされた若い女性や迫害された病人たちを引き取り、彼らに仕事を与えている様子が描かれています。神殺しなど一見冷徹な人物に思われがちな彼女ですが、このように困難を抱える人びとに手を差し伸べる一面を持つ理由には、過去の出来事が関係しているのかもしれません。

 そして、1986年に公開された『天空の城ラピュタ』に登場する空中海賊「ドーラ一家」を率いる「ドーラ」にも、ファンが目を疑うような裏設定がありました。ドーラといえば、魔女のような鉤鼻(かぎばな)にがっちりとした貫禄のある体型が特徴的ですが、若い頃の彼女は、現在とはずいぶん違った外見だったのです。

 ドーラ一家の飛行船内には、若い頃のドーラの肖像画が飾られています。現在よりもかなりスリムな体型で、長い三つ編みに青いバンダナを巻いたその姿は、凛とした美しさを放っています。

 実は驚きの裏設定を持つ、スタジオジブリの魅力的なサブキャラクターたち。彼女たちの設定を知ると、お気に入りの作品を新たな視点で楽しめそうです。

(LUIS FIELD)

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