気まずいけど名作な「R指定」実写化映画 「主演が洗われてる…」「最後に衝撃」

マンガとひと口に言っても多種多様で、これまでさまざまなジャンルの作品が実写化もされてきました。なかには過激な原作を映画化してR指定となるも、批評的にも高い評価を受けた作品もありました。

映画『空気人形』ポスタービジュアル (C)2009業田良家 / 小学館 / 『空気人形』製作委員会

 これまで数々のマンガが実写映画化されており、万人が楽しめる内容の作品もあれば、過激で観る人を選ぶものの熱い支持を受けた作品もありました。苦手な人は要注意ながら、しっかり面白く、心に残るR指定の作品を振り返ります。

●『空気人形』R15+指定

 2009年の『空気人形』は、中年男性「秀雄(演:板尾創路)」が所有しているラブドールの「のぞみ(演:ペ・ドゥナ)」にあるとき心が芽生え、いろんな人と出会い、恋をするファンタジー作品です。業田良家先生の『ゴーダ哲学堂 空気人形』に、『誰も知らない』『万引き家族』などの是枝裕和監督の独自解釈も加わっています。

 美しい映像で、のぞみとレンタルビデオ店の店員「純一(演:ARATA)」の恋模様が描かれる一方、そもそも主人公がラブドールという設定上、裸はもちろん人形として洗われる場面もあるほか、意外な流血シーンもあり、ほかの是枝監督作品と比べても万人向けではない要素が多くありました。

 のぞみが自分は「性欲処理の代用品」と察してしまう場面の悲しさや、満たされない心を別の何かで埋めようとする各登場人物の描写、彼女があくまでも人形であることで起きる終盤の悲劇など、忘れがたい内容で長年支持されています。「心をもつことは、切ないことでした」というキャッチコピーから想像する以上に切ない展開が待ち受けているので、観る前に覚悟がいる作品です。

●『隣人13号』R15+指定

 井上三太先生の同題マンガ原作の『隣人13号』は、小栗旬さんと中村獅童さんのダブル主演で、2005年に公開されました。

 主人公「村崎十三(演:小栗旬)」は、小学校時代に同級生「赤井トール(演:新井浩文)」から、顔に硫酸をかけられるほどのひどいイジメを受け、凶暴な別人格「13号(演:中村獅童)」が宿り、ときを経て赤井への壮絶な復讐を果たす物語です。13号がトラブルが起きたアパートの隣人をナイフで刺しまくるシーンや、ゴキブリを無理やり食べさせる、半グレの男を遊園地のトイレで殺害するなど衝撃場面が相次ぎました。

 主演ふたりの鬼気迫る演技はもちろん、劇中で起きていたことが本当に現実なのかどうかも分からなくなるようなラストなど、こちらも心に残る衝撃作として語り継がれています。

●『サユリ』R15+指定

 2024年に好評を博した人気マンガの実写版映画『サユリ』(原作:押切蓮介)は、平凡な大家族「神木家」がとある家に引っ越したところ、そこに憑りついていた霊「サユリ」によって次々殺されていってしまう、恐ろしい内容です。

 前半は老人から幼い子供まで犠牲になるうえに、マンガとは違う死に方や演出もあり、展開は知っている原作ファンでも驚かされるような場面がいくつもありました。じんわりと怖い心霊ホラーと、スプラッターの要素両方があるので注意が必要です。

 映画の後半は、認知症だった神木家の祖母「春枝(演:根岸季衣)」が覚醒し、「生きるパワー」でサユリに復讐を誓う、スカッとする展開となります。ただ、終盤に明かされる「サユリの生前の出来事」に関してある改変が加わっており、ここが映画版のいちばん「えぐい部分」と感じた人も多かったのではないでしょうか。物語の悲劇性も高まっており、また別種の衝撃も味わえる実写版となりました。

(マグミクス編集部)

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