だから「キレる高齢者」「暴走老人」が爆誕する…和田秀樹「怒りを感じたら直後3秒ですべきこと」(プレジデントオンライン)|dメニューニュース
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■友人や家族に「他己分析」をうまく活用する
また、自分では短所だと思えるところも、他人から見たら長所になることもあります。どうしても自分を認められないなら、気の置けない友人や家族に「他己分析」をしてもらうといいでしょう。
人と比べても自分のよい面を見てあげるようにすれば、これから生きやすくなるでしょう。
「六十にして耳順(したが)う」(論語)――60歳になると他人の意見に反発を感じずに、素直に耳を傾けられるようになること。「他己分析」をうまく役立てられそうですね。---------- 和田 秀樹(わだ・ひでき) 精神科医 1960年、大阪府生まれ。東京大学医学部卒業。精神科医。東京大学医学部附属病院精神神経科助手、アメリカ・カール・メニンガー精神医学校国際フェローを経て、現在、和田秀樹こころと体のクリニック院長。国際医療福祉大学教授(医療福祉学研究科臨床心理学専攻)。一橋大学経済学部非常勤講師(医療経済学)。川崎幸病院精神科顧問。高齢者専門の精神科医として、30年以上にわたって高齢者医療の現場に携わっている。2022年総合ベストセラーに輝いた『80歳の壁』(幻冬舎新書)をはじめ、『70歳が老化の分かれ道』(詩想社新書)、『老いの品格』(PHP新書)、『老後は要領』(幻冬舎)、『不安に負けない気持ちの整理術』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、『どうせ死ぬんだから 好きなことだけやって寿命を使いきる』(SBクリエイティブ)、『60歳を過ぎたらやめるが勝ち 年をとるほどに幸せになる「しなくていい」暮らし』(主婦と生活社)など著書多数。
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■60歳からは自分に素直になって生きていく
また、他人の目や評価を気にしている人は、自分以外の人にも「世間の目」を押しつけようとします。あなたも、そんな押しつけがましい人になっていませんか?
60歳にもなったら、もう人にどう思われてもいいと開き直ってしまいましょう。すると、これからは自分に素直になって生きていくことができます。自分が言いたいことを言えるようになって、人と話をするのもラクになるでしょう。
「世の人はわれをなにともいはばいへ わがなすことはわれのみそしる」(坂本龍馬/武士)――自分がやりたいことを、ほかの人に認めてもらう必要はないのです。■「キレる高齢者」「暴走老人」が増える理由
60歳を超えたあたりから、感情を制御するのが難しくなってきます。そのため、だんだん怒りっぽくなってきます。その原因は、思考や感情を司(つかさど)る脳の前頭葉の萎縮にあります。
高齢になって急に怒り出す人が増えるのもそのせいで、「キレる高齢者」「暴走老人」と呼ばれてしまうのです。前頭葉は、脳の中でもっとも早く老化が始まります。その機能が落ちると、意欲や感情をコントロールする能力も衰えていくのです。
また、「感情」を持つことと「感情的」になることは違います。怒りの感情がわくのは自然なことで、感情的になるとその怒りを他人に向け、行動や言葉で相手を傷つけてしまいます。
感情的になっている時は感情に振り回されている状態で、怒りで判断が狂い、人に手をあげたり、暴言を吐いたりしてしまうのです。
怒りの感情に振り回されないようにするには、怒りを「小出し」にするといいでしょう。小出しにするコツは、怒りを感じた瞬間に3秒だけ怒ること。
怒りの感情をぶちまけるのではなく、ちょっとだけぼやいたり、嫌味や皮肉を言ったりして言葉にするのです。その際は、怒った顔や不機嫌な態度にならないようにしましょう。