NY市場サマリー(23日)ドル下落、利回り低下 株大幅反発 トランプ氏がイラン攻撃延期表明
<為替> ドルが円やユーロなどの主要通貨に対し下落した。トランプ米大統領がイランとの建設的な協議を受けイランのエネルギー関連施設への攻撃を延期すると明らかにしたことで、エネルギー供給を巡る懸念が緩和した。 トランプ氏は自身の交流サイト(SNS)「トゥルース・ソーシャル」への投稿で、「敵対関係の完全かつ全面的解決に向け過去2日間、非常に良好で生産的な協議を行った」とし、進行中の協議の成果を条件にイランの発電所とエネルギーインフラへの軍事攻撃を5日間延期するよう国防総省に指示したと表明。イランのモハンマドバゲル・ガリバフ国会議長のほか、イラン外務省報道官も米国との協議実施を否定したが、トランプ氏の発言を受け、原油先物が急落するなどの動きが出ている。 スタンダードチャータード(ニューヨーク)のグローバルG10為替調査責任者兼北米マクロ戦略責任者、スティーブン・イングランダー氏は「全てがあまりに具体的に語られているため、市場で完全な作り話とは信じられていない」とし、「トランプ氏が主張しているように米国とイランが実際に合意間近かは別問題としても、何らかの形で意思疎通が行われているという前提で相場は動いた」と述べた。 一方、ブラウン・ブラザーズ・ハリマン(ロンドン)の市場戦略グローバル責任者、エリアス・ハダッド氏は、状況が明確になるまで本格的な緊張緩和局面に入ったと判断するのは早すぎると指摘。「まだ緊張緩和には至っていないということを踏まえ、現在の『エネルギーショック』が『財政ショック』に転じるリスクを懸念している」と語った。 終盤の取引で、ドル/円 は0.6%安の158.30円。ユーロ/ドル は0.4%高の1.1616ドル。主要通貨に対するドル指数は0.4%安の99.08。
NY外為市場:
<債券> 国債利回りが低下した。取引序盤には数カ月ぶり高水準を付けていたものの、トランプ大統領がイランのエネルギーインフラへの攻撃計画を延期すると表明したことを受け、上昇幅を縮小した。 10年債利回りはオーバーナイト取引で一時、8カ月ぶりの高水準となる4.445%まで上昇していたものの、トランプ氏の発言を受けて一時、4.305%まで低下。終盤では4.33%で推移した。 金利動向に敏感な2年債利回りは3.824%。序盤の取引では7月以来の高水準となる4.016%まで上昇していた。 トランプ氏は、米国はイランと過去24時間の間に協議を実施し、攻撃の終結に向けた合意が近く成立する可能性があるとの認識を示した。ただ、イランは協議の実施を否定している。 ジャニー・モンゴメリー・スコットのチーフ債券ストラテジスト、ガイ・ルバス氏は、市場がトランプ氏の最新の動向と、先週の米連邦準備理事会(FRB)による金利据え置き決定を材料視する中、利回りは序盤に高水準を付けて以降、不安定な動きを見せたと指摘。その上でこの日の動きは、「これ以上マイナス材料が出てこなかったことと、先週崩れていたポジションの調整が行われたこと」が背景にあると述べた。 2年債と10年債の利回り格差は49.5ベーシスポイント(bp)。23日午前の時点で、市場が織り込むFRBが4月の会合で利上げを実施しない確率は91.7%となっている。
米金融・債券市場:
米国株式市場:
<金先物> FRBなどによる早期の利下げ観測が後退する中で売 られ、4営業日続落した。中心限月4月物の清算値(終値に相当)は前週末比167.6 0ドル(3.66%)安の1オンス=4407.30ドルと、中心限月の清算値ベースで1月初旬以来約2カ月半ぶりの安値を付けた。
インフレ再燃への警戒感が強まる中、FRBを含む世界各国の中央銀行が利下げに慎重となるとの見方は根強く、金利の付かない資産である金の投資妙味が減退、金は引き続き 売り地合いが続いた。米国とイスラエルによるイランとの軍事衝突開始以降、これまで急速に上昇してきた金は、利益確定売りも出やすい。
サクソバンクの商品戦略責任者オール・ハンセン氏は23日付のリポートで、金相場が 2023年以来初めて200日移動平均の水準に戻り、下落の大きさを浮き彫りにしていると指摘。同氏はその上で「買い持ちポジションの手じまい売り、ストップロスの発動、 流動性を確保するための投資家らの売り」などにより、金は現在の環境下で下落リスクに さらされている資産の一つとして浮上していると述べた。
NY貴金属:
<米原油先物> トランプ米大統領がイランとの対話進展を明かしたことで、中東産エネルギーの供給不安が大きく後退し、急落した。この日から中心限月に繰り上がった米国産標準油 種WTI5月物の清算値(終値に相当)は、前週末比10.10ドル(10.28%)安 の1バレル=88.13ドル。6月物は9.37ドル安の85.37ドルだった。
トランプ米大統領は23日朝、イランとの敵対関係の「完全かつ全面的な解決」に向け、「生産的な対話を行った」とSNSに投稿。対話継続の意向を示すとともに、イランの発 電所などを攻撃する計画の延期を指示したことを明らかにした。これを受け、イランがホ ルムズ海峡の開放を拒み、双方がエネルギー関連インフラの破壊を加速させるとの懸念が後退。相場は未明に再び100ドルの大台を突破していたが、あと売りが殺到、一時84 ドル台まで下押しされた。
一方、イラン側は対話の事実を否定。「交渉はこれまでも行われておらず、今後も予定 はない」と強調したため、昼ごろから買い戻しが入り、下げ幅の一部を縮小。ロイターは、米イスラエルとイランの紛争により、湾岸諸国の原油生産は最大で日量1000万バレル減少と報道。国際エネルギー機関(IEA)のビロル事務局長は、1970年代の2度の石油危機を合わせたよりも損害が大きいと指摘した。取引終盤には、イランと近く対面会合を開くとのトランプ氏発言が伝わったが、相場の反応は限定的だった。
NYMEXエネルギー:
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