太陽は罪なヤツ? 太陽熱が地球の地震活動に影響するかも

Image: Ikluft / Wikimedia

温暖化が進むと地震が起こりやすくなるってこと?

地震の仕組みや原因についてかなり詳しい地震学者でも、地震を予測するのはとても難しいといいます。

「地震と太陽や月の活動には関連性がある」なんて聞くと陰謀論のように感じちゃうかもですが、最近の研究によると、実際に太陽熱と地震活動の間に何らかのつながりがあるかもしれないそうですよ。

太陽熱と地震活動に関連性

日本の研究チームが、地表温度を組み込んだコンピューターモデルは過去の地震をより正確に再現できることを発見しました。学術誌Chaosに掲載された研究結果は、太陽による地表への影響が地震活動にも関連している可能性を示唆しています。もしも研究内容が実証されれば、地震予測や防災対策に大きな変化をもたらすかもしれません。

同じチームによる2022年の研究結果では、黒点などの太陽活動が地球の地震活動に影響を与えることが明らかになったそうなのですが、そのメカニズムについてはまだよくわかっていないといいます。今回の研究では、「太陽熱が地震活動に影響を与える」という仮説を検証しています。

地震のデータを太陽活動および地表温度と照らし合わせたところ、熱が地震活動に影響しているという結論に至ったそう。震動シミュレーションに地表温度を組み込むと、特に浅発地震(震源の深さが浅い地震)の予測精度が向上したとのこと。

太陽熱以外にも地震のトリガーはさまざま

どうやら太陽熱の影響を受ける地殻の温度が、地震活動に何らかの形で関与している可能性があるみたいですね。研究チームは地震の季節変動もさらなる証拠として挙げています。

筑波大学のコンピューターサイエンティストで、今回の研究の共著者でもあるMatheus Henrique Junqueira Saldanha氏は、論文を発表した米国物理学協会出版部の声明で次のように述べています。

「太陽熱によって引き起こされる大気の温度変化が、岩盤の性質や地下水の動きに影響を与える可能性があります。こうした変動によって岩盤がもろくなって割れやすくなることも。また、降雨や雪解けによるプレート境界にかかる圧力の変化なども例として考えられます。これらは地震の主な原因ではないかもしれませんが、地震の予測に役立つ可能性があります」

さらに、熱や水の影響は主に地殻上層部におよぶため、地表温度と浅発地震との間に強い関連性が見られるのは理にかなっているとJunqueira Saldanhaは説明しています。

太陽熱と地表温度、地震活動の関連性がはっきりすれば、地震の予測精度向上や、地震多発地域に住む人々の安全確保にもつながりそうですね。

Junqueira Saldanha氏は研究の意義についてこう話します。

「方向性としてはとても興味深いです。この研究が地震を引き起こす要因の全体像を解明する一助になるよう願っています」

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