なぜこうなった…。J2リーグ、今季のガッカリクラブ6選。まさかの期待外れに終わったのは?
明治安田J2リーグは、10日に第38節が行われ全チームの最終順位が確定した。シーズンを通してサポーターの期待に応える素晴らしいパフォーマンスを見せたクラブもあれば、まさかの結果に終わり来季に不安を残すクラブもある。そこで今回は、今季のJ2リーグでサポーターの期待を裏切ってしまったチームを紹介する。
※スタッツはデータサイト『transfermarkt』を参照。情報は全て11月12日時点。
ジェフユナイテッド千葉
【写真:Getty Images】
監督:小林慶行 最終順位:7位
ジェフユナイテッド千葉の夢は今季も叶わなかった。
言うまでもないが、千葉はJリーグ発足当時から存在する「オリジナル10」クラブの1つ(発足当時のチーム名はジェフユナイテッド市原)。2009シーズンをJ1最下位で終えてJ2降格が決まって以降、今季まで一度もJ1に昇格することなく、15シーズン連続でJ2の舞台で戦っている。
「J2沼」なる表現も存在するが、千葉はその最たる例だ。これまで何度も昇格プレーオフ進出を果たしてきたが、昇格の切符はその手から転がり落ちている。残念ながら今季も同じ結末を辿ってしまった。
チームは黒星発進となり、シーズン序盤は低迷。長いこと6位から8位と昇格プレーオフ圏内ギリギリをさまよっていたが、第28節から3連勝、第32節からは破竹の5連勝を飾ることに成功する。
これにより、千葉は4位まで浮上。昇格プレーオフ進出を確定させるために残り2試合の結果が求められた。
しかし、チームは第37節V・ファーレン長崎戦(1-2)に敗れ、運命の最終節ではモンテディオ山形相手に0-4の大敗。この連敗が響き、勝ち点3差でプレーオフ進出を逃した。
結果論になるかもしれないが、千葉はシーズン序盤の「勝ち点の取りこぼし」があまりに痛かった。エンジンがかかるのが遅く、これが後々、自分たちの首を絞める格好に。加えて、今季は負傷者が続出。ベストメンバーで臨むことができた試合が少なかったことも大きな課題だ。
それでも、プレーオフ進出を逃してしまったことには期待外れだったと言わざるを得ない。リーグ最多の23得点を挙げた小森飛絢には間違いなくJ1のクラブも目をつけているはずで、仮に小森が退団した場合、来季はもっと苦しい戦いを強いられることになる。
J1に再びオリジナル10が集結する日はいつになるのか。
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【写真:Getty Images】
新しいクラブ呼称名、新しいエンブレム、そして新しい練習場。ザスパ群馬にとって新たな歴史の1ページとなった今季は、J3降格決定という残酷な結果で幕を下ろした。
群馬は昨季、大槻毅監督の下で11位でシーズンを終えた。J1昇格プレーオフ圏内を巡る争いをしていた時期もあり、今季に対するファン・サポーターの期待は小さくなかったはずだ。事実、赤堀洋代表取締役社長は9月に「いままでにない期待と興奮の中で2月のシーズン開幕戦を迎えました」と公式サイト上でコメントしていた。
しかし、その期待と反比例するかのように、今季の群馬は序盤戦から低調なパフォーマンスに終始する。
チームは開幕から6試合未勝利と苦しい船出。第7節に、同じく絶不調だった徳島ヴォルティス相手に初白星を挙げるも、翌節からはリーグ戦15試合連続勝利無しという泥沼に足を踏み入れた。5月には成績不振によって大槻監督が解任され、後任に武藤覚監督が就任したが状況は好転せず。
最終的に、群馬がリーグ戦で勝利したのは38試合中わずか3試合にとどまった。チームは第3節以降、一度もJ3降格圏を抜け出すことはできず、第11節からシーズン終了までずっと最下位で過ごしている。19位・鹿児島ユナイテッドとの勝ち点差は12まで開いてしまった。
昨季の躍進は何だったのか。チームは1年でJ2昇格争いからJ3降格まで落ちてしまった。
この状況が来季まで続くとは考えにくいが、今季のパフォーマンスでは1年でのJ2復帰は到底叶わない。大幅なテコ入れは不可欠である。J3で迎える来季は、群馬にとって「あるべき場所」に戻るための、そして名誉挽回のためのシーズンとなる。
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ヴァンフォーレ甲府は今季を14位で終えた。自らが掲げた理想と現実の間には、看過できない大きなギャップがある。
昨季は勝ち点3差でJ1昇格を逃した甲府。今季こそはJ1への切符を掴むべく、チームのスローガンを「緊褌一番」に設定した。文字通り、これまで以上に気持ちを引き締めて臨んだ2024シーズンだったが、期待外れのパフォーマンスが続いてしまった。
開幕2試合を白星で飾る素晴らしいスタートを切ったものの、その後は引き分けや負けの試合が増加。第15節から第24節にかけては、リーグ戦10試合連続勝ちなしという危機に陥った。
これを受けて、7月に篠田善之前監督が解任され、大塚真司コーチが監督に昇格した。篠田前監督下では、22試合6勝7分9敗。大塚監督就任後は16試合で6勝2分8敗という結果になった。
最終的に14位とJ2残留に成功したが、本来の目標ではないだろう。監督交代によってチームのパフォーマンスが好転したとは言い難い。
大きな課題は「勝ちきれないこと」、すなわち守りきれないことにある。
今季リーグ戦で、甲府は先制点を奪うことに成功した試合は20試合。そのうち最終的に引き分け・負けになった試合が9試合となっており、これはJ2全チームの中で最多の数字だ(Jリーグ公式記録参照)。
得点数はボトムハーフ最多の54となっている。以上の事実は、失点の多さがチームの高い得点力をかき消し、「勝ち点の取りこぼし」を多発させていることを示している。間違いなく上位進出の足枷だ。
先日、クラブは大塚監督の来季続投を発表した。今季途中に就任した指揮官は、この明確な課題を解決することができるだろうか。
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J1昇格を目標に今季を戦った大分トリニータだったが、最後まで波に乗ることはできなかった。
昨季9位フィニッシュとなった大分は、片野坂知宏監督を招聘。3年ぶりに復活した片野坂体制でJ1復帰を目指した。
しかし、いざ蓋を開けてみると片野坂監督の下でチームは序盤から低迷。黒星が特段に多いわけではないが、勝ちきれない試合が続いた。
上位勢相手にはドローにもちこむ善戦を見せていたとはいえ、「勝ち点」という数字にフォーカスすると期待外れのパフォーマンスだったと言わざるを得ないだろう。
第14節から第22節にかけては9試合連続未勝利、第27節から第32節にかけては6試合連続未勝利と不振に陥り、順位は17位まで下落。降格圏がチラつく危険な順位となったことで、一時は片野坂監督の解任論も噴出した。
それでも、クラブは9月にクラブ公式サイトにて「大分トリニータを応援してくださる全ての皆様へ」と題した声明を発表し、片野坂体制を維持することを明言した。最終的に16位でシーズンを終え、J3降格は免れている。
下位3チームが後半戦で、軒並み勝ち点を伸ばせなかったことで大分は降格圏に沈むことはなかった。その点では運が良かったと言える。
しかし、大分がシーズンを通して奪った総得点数は33。これはJ3降格が決定した18位・栃木SCと並んでリーグワースト2位の数字だ。来季はしっかりと現実を見据えた目標を設定しなければならない。間違えれば、その先に待っているのは降格だ。
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J1昇格を目指して今季開幕を迎えた水戸ホーリーホック。しかし、その現実は甘くなかった。
水戸は、第1節いわきFC戦(1-0)に勝利し上々の滑り出しとなったものの、そこからまさかのリーグ戦4連敗。一気に降格圏まで引きずり込まれた。
第6節ジェフユナイテッド千葉戦(0-0)で久しぶりに勝ち点を積み上げて連敗阻止に成功したが、今度は勝ちきれない試合が続く展開に。第2節から第10節まで8試合連続未勝利と低迷した。これらの成績不振を受けて、5月に濱崎芳己監督が解任されている。
その後任には、クラブのレジェンドである森直樹が選ばれた。森監督の下でチームは一定の改善を見せ、新体制で戦ったリーグ戦25試合の結果は9勝6分10敗。一時は13位まで順位を上げた。最後は2連敗を喫したが、15位でシーズンを終えている。
とは言え、期待されたパフォーマンスではなかったことは確かだ。長いシーズンを戦っていくうちに、いつのまにかチームのミッションは「J1昇格」から「J2残留」になってしまった。
水戸にとって来季は26シーズン目のJ2。「魔境」「沼」とも呼ばれるリーグを彼らは抜け出すことができるだろうか。
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今季の徳島ヴォルティスは評価が難しい。「もっとできたのではないか」という思いを込めて、ここでは敢えて「ガッカリ」とさせてもらいたい。
吉田達磨監督2年目となった今季は、開幕3連敗スタート。チームの象徴であるはずの西谷和希が冷遇され、不穏な空気が立ち込めていた。
第4節水戸ホーリーホック戦で今季初白星を飾るも、なかなか調子は上がらず。第7節には絶不調だったザスパ群馬相手に敗戦。徳島の順位は20位となり、J3降格の筆頭候補になってしまった。
これによってサポーターの怒りは頂点に達する。クラブは試合翌日に吉田監督の解任と岡田明彦強化本部長の辞任を発表した。
ここまででも十分に最悪な状況だが、追い討ちをかけるように騒動は続く。島川俊郎が電撃引退を発表し、西谷は契約解除に。ピッチ内外で衝撃的な出来事が連鎖して起こったことへのクラブの責任は重い。
ただ、この混乱の中で後任監督に増田功作ヘッドコーチを選んだことは英断だった。増田監督の下でチームは徐々に本来の力を取り戻し、みるみるうちに降格圏を脱出。それどころかラスト5試合を無敗で終え、8位フィニッシュまでチームを高みに導いている。
降格候補筆頭から上位躍進。増田監督の仕事は間違いなく素晴らしいものだ。しかし、監督交代でここまで順位を上げた事実を踏まえると、不調だった序盤戦の取りこぼしが悔やまれる。
このチームと増田監督のポテンシャルに最初から気づいていれば、J1昇格プレーオフ進出も夢ではなかったはずだ。
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