コラム:中国政治局会議、株価・不動産対策に本腰 それでも根強い懐疑論
[香港 10日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 中国指導部は国民が豊かさを感じれば消費を増やすと考えているようだ。これが9日発表された共産党中央政治局会議の声明文のポイントだ。
同会議では、株価・不動産価格の安定を来年の主要課題とし、両市場の下支えに取り組む姿勢をこれまでになく明確に示した。
心強い表現も用いた。新華社によると「非伝統的な」景気循環調整を強化するとし、より積極的な財政政策と「適度に緩和的」な金融政策を実施する方針を示した。「適度に緩和的」という表現は、世界的な金融危機の余波に見舞われていた2010年以降、使われていなかった。
週内には来年の政策方針を決める年に1度の中央経済工作会議も開く。
それでも、中国経済に懐疑的な見方は多い。モルガン・スタンレーのストラテジストは、来年12月までの中国株の値動きについて、強気シナリオで最大30%上昇、弱気シナリオで最大30%下落と予想している。足元の中国株は、モルガン・スタンレーの今年の強気シナリオに沿った値動きになっているが、同社は今回も極端に広いレンジの予想を示した。
ここには中国経済の課題が透けて見える。中国政府は上場企業には株主還元の拡大を、不動産デベロッパーには未完成住宅の完工を命じているが、デフレ圧力が続き、米国との第2次貿易戦争に突入すれば、株価や不動産価格を下支えするのは容易ではないだろう。
また、さらなるボラティリティーも暗示されている。中国株は政府が景気下支えの意向を示すと、9月中旬の2週間で35%急騰した。だが、その後は財政刺激策が不十分との見方が広がり、上昇分の半分を削った。
大手不動産デベロッパーは債務再編交渉で身動きが取れず、住宅の購入意欲は依然乏しい。指導部の目標は明快だが、達成は容易ではないだろう。
●背景となるニュース
(筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています)
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