AIショック→日経平均株価は一時4,332円下落も…積立投資家が「市場からの撤退」だけは避けたい理由
本日11月6日、マーケットでは一時日経平均が4,332円下落するなど、下落幅としては2024年8月5日の「令和のブラックマンデー」が記録した過去最大の下落幅に迫る規模となりました。個人投資家はこのショックにどう向き合えばよいのでしょうか。楽天証券経済研究所の専門家二人に話を聞きました。
この記事の目次 [閉じる開く]トウシル編集部:前日の米株急落に続いて、国内でも株価指数が急落しています。マーケットではいまなにが起きているのでしょうか?
窪田真之・楽天証券経済研究所チーフ・ストラテジスト(以下、窪田):まずは、2024年以降の日経平均株価の動きを指数化して表している【図表1】をご覧ください。
〈図表1:乱高下しつつ上昇してきた日経平均株価〉
出所:QUICKより楽天証券経済研究所が作成
今日の下落を受けて、高値から22%の下落となりました。この背景には、AIの過剰投資の不安をはじめ、金利上昇ショックや中東危機が長期化していく不安など、複合的な要因があったとみています。
そのような中、米中間選挙で共和党が大敗したことにより、米国のデータセンターの建設に急ブレーキがかかるのではないかという思惑から、AIや半導体関連株が大きく売られた、というのが足元の状況です。
ただ私は、これは長い目で見ると適切な調整だと考えています。とはいえ、短期的な下げは続くと思うので、慎重に、時間分散しながら投資していく必要があるでしょう。
トウシル編集部:ハイパースケーラーの投資減速についても、皆さん気にされています。
窪田:米中間選挙で民主党が大勝したことにより、データセンターの建設計画が停滞、あるいは承認取下げとなることで、ハイパースケーラーが大ダメージをくらうといった解説が出ています。
ですが、私はむしろ、長期で見るとハイパースケーラーは救われたのではないかと考えています。なぜかというと、昨今のAI投資は、他社に遅れまいとする強迫観念的な側面が強く、過剰投資による競争激化でAIの利用料がたたき売られる懸念があったからです。
こうした中、民主党がブレーキをかけることで投資が抑制されると、データセンターの供給不足が生じ、結果としてAI利用料が適正価格まで上昇、投資回収が容易になるのではないかと考えます。
ただ、これはかなり長い先の話です。短期的には、これまで成長期待で買われていた半導体・データセンター関連株が売られやすい局面はしばらく続くでしょう。
トウシル編集部:上源さんはどう見ていますか?
上源悠詞・楽天証券経済研究所ポートフォリオ・ストラテジスト(以下、上源):私も同意見です。今回の下落の本質は、選挙結果そのものよりも、「AI投資ブームの持続性に対する懸念」が表面化したことにあると考えています。
「下げが下げを呼ぶ」相場のメカニズム
トウシル編集部:マーケットがこうした材料を消化するには、しばらく時間がかかるものなのでしょうか?
窪田:そうですね。ファンドマネージャー時代にも幾度となく見てきましたが、株価が急落すると、「割安だから買おう」とする投資家がいる一方、レバレッジをかけたデリバティブ取引などの「売らざるを得ない」資金が大量に発生します。
そして、割安だから買おうという人よりも、売らざるを得ない人のほうが先に動くのです。
マーケットは往々にして、上昇時には上がりすぎ、下落時には下がりすぎる傾向にあります。「ここが底だ」と決めつけるのは危険であり、短期的な下値模索が続く可能性を考慮しておくべきでしょう。
トウシル編集部:では、今後の市場を見通す上で重要なポイントはありますか?
窪田:短期的にはさまざまな材料で動きますが、最終的には企業業績という「ファンダメンタルズ」が重要になってきます。
足元の企業業績は非常に堅調です。株価下落により、東証プライムの予想株価収益率(PER)は年初の20倍から、11月6日終値時点で14.7倍まで低下しました。これは割安な水準であり、いずれ見直されることでしょう。
〈図表2:東証プライム市場の予想PER推移〉
出所:QUICKほか各種資料より楽天証券経済研究所が作成
ただ、ここで気をつけたいのは、企業業績がこの後どうなるかという点です。
リーマンショックの場合も、同じように株価が下がり、「この水準は割安だ」と騒がれたものの、企業業績が崩れ赤字に転落、世界的な不況となりました。
しかし、今回はリーマンショック時とは状況が異なります。まず、半導体投資に急ブレーキがかかったからといって、経済全体が壊れる状況ではありません。
また、国内企業を見ても好調な企業が多いことから、急激に業績が悪化するようなことは考えにくい。となると、足元14.7倍まで下がったPERは割安で、すぐではないにせよ、いずれ評価されるようになると考えています。
〈図表3:日銀短観大企業DI〉
出所:日本銀行「全国短期経済観測調査」より楽天証券経済研究所が作成
トウシル編集部:株価が急落する一方、企業の稼ぐ力が上向いているということは、長期視点では重要な事実ですね。
窪田:はい。ただし、繰り返しになりますが短期的には売られやすい地合いだと思うので、一度で大きく買うのではなく、時間分散しながら少しずつ買っていくことが大切です。
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