警察官がたり詐欺で80代が12億円被害 別の被害者開設口座を悪用

水田道雄 黒田陸離

 愛媛県警は6日、県内に住む80代の女性が、警察官をかたる人物らから現金約12億円をだまし取られたと発表した。警察庁によると、これまでに明らかになった被害額としては過去最悪という。

 この事件では、大阪府の女性がニセ警察官詐欺の被害に遭った際、犯人に作らされた口座が振り込みに使われたことが判明。詐欺グループが、金をだまし取るついでに被害者に口座を作らせ、別の詐欺に悪用する被害の連鎖が浮き彫りになった。

 県警組織犯罪対策課によると、女性宅の固定電話に昨年10月30日、薬局店員を名乗る女から「保険証が不正に使われている」と電話があった。

 石川県警の警察官を名乗る男も電話口に出て「SNSで1日4回連絡を取り合う必要がある」などと伝えられた。

 その後、女性は検事を名乗る人物らからSNSで「あなたの口座で資金洗浄されている」「財産を調査する必要がある」などと言われ、12月から今年2月にかけ、指定された口座に愛媛県内の金融機関から8回にわたり計約12億円を振り込んだ。

 2月13日に振り込んだのを最後に連絡が来なくなり、不安に思った女性が県警に相談。今月4日、県警が被害届を受理した。

 女性は1回につき1億1千万~2億円を振り込んでいた。振り込み手続きの際、女性は金融機関の窓口で「土地を買うので現金を送らせてほしい」と説明していたという。

「金沢署の福永誠」から電話

 一方、大阪府警も6日、府内の自営業の70代女性が、警察官をかたる男らに約3億円相当の暗号資産をだまし取られたと発表した。

 府警特殊詐欺捜査課によると、昨年10月、女性宅の固定電話に「厚生省保険医務局員」を名乗る男から「あなたの保険証が金沢の病院で使われている」などと電話があった。

 女性が身に覚えがないことを伝えると「金沢署の福永誠」を名乗る男から携帯電話に「あなた名義の通帳とカードが悪用されている。犯人が2人いて、あなたから買ったと言っている」と連絡があり、SNSを通じて「犯人」の2人の顔写真などが送られてきたという。

 その後、男から「身の潔白を証明するために資産調査に協力して」「隠し口座があるかどうか確認する。持っていなければ口座を開設できるはずだ」などと指示され、ネット口座や暗号資産取引所のアカウントを複数開設。検察官を名乗る別の男の指示で、11~12月に34回にわたり、暗号資産を相手方に送金した。

 さらに「法人の調査も行う。調査のために必要」などと連絡があり、男らの指示で開設したネット口座に、知らない人名義の約12億円が入金された。女性はこれも暗号資産に変え、昨年12月~今年2月、約100回にわたって送金してしまったという。

 この12億円が、愛媛の被害女性が振り込んだものだった。大阪府の女性は、2月中旬に府警が訪ねた際に、両件の被害に初めて気づいたという。

 愛媛県内の金融機関で詐欺被害の懸念がある取引の申し込みがあった場合、金融機関から警察に通報される仕組みになっている。

 今回の被害について県警組織犯罪対策課の担当者は「手口が巧妙になっている。(金融機関、警察双方の)対応に不備はなかった」と話している。

 大阪府警は「警察が面接もしていないのに、電話で資産を尋ねたり、口座開設を指示したりすることはない」と注意を呼びかけている。

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この記事を書いた人

水田道雄
松山総局|高校野球、県警担当
専門・関心分野
スポーツ全般、地方政治、選挙
黒田陸離
大阪社会部|府警担当
専門・関心分野
地方取材、スポーツ、平和、人権

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