太陽の光で無限に加速するソーラーセイル「IKAROS」世界初の宇宙ヨットの運用終了をJAXAが発表(スペースチャンネル)

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IKAROS 出典:JAXA

JAXAは5月15日、小型ソーラー電力セイル実証機「IKAROS(イカロス)」の運用を正式に終了したと発表しました。2010年の打ち上げ以来、世界で初めて宇宙空間においてソーラーセイルによる推進・発電・姿勢制御を実証した同機は、宇宙開発史に大きな足跡を残しました。

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太陽の“光”で進む夢の宇宙ヨット

ソーラーセイルのイメージ図 出典:JAXA

「ソーラーセイル」とは、太陽光(光子)が持つ微小な力=光圧を利用して宇宙空間を進む推進装置です。風を受けて進む地上のヨットと同様に、宇宙では帆に太陽光を受けて加速します。

推力は非常に小さいものの、燃料を必要とせず、長期間にわたって継続的に加速できるのが最大の特徴です。たとえ一歩ずつでも、永遠に加速し続けるという点で、「夢の無限エンジン」とも呼ばれています。

この発想は17世紀の天文学者ヨハネス・ケプラーまでさかのぼるといわれていますが、実際に宇宙空間での実証に成功したのはIKAROSが世界初でした。

IKAROSの挑戦と成果

IKAROS 出典:JAXA

IKAROSは、2010年5月21日に金星探査機「あかつき」とともにH-IIAロケットで打ち上げられました。本体はわずか直径1.6メートル程度の円筒形。その中心から14メートル四方の超薄型セイルを回転しながら遠心力で展開するという、きわめて高度な展開機構を備えていました。

展開されたセイルには薄膜太陽電池が貼り付けられており、推進と発電の両方をソーラーで行う「ソーラー電力セイル」という先進技術の実証にも成功しました。

得られる推力はわずか0.1グラムほどとされますが、IKAROSはこの力で実際に加速と姿勢制御を実行し、完全に燃料に依存しない航行を実現しました。

冬眠と探索、そして運用終了へ

IKAROS 出典:JAXA

2011年には定常運用を終え、2011年12月には推進剤がほぼ尽き、IKAROSは「冬眠モード(シャットダウン)」と「冬眠明け」を繰り返す運用に入りました。これはセイルのわずかな力学的変化や光圧に基づいて軌道・姿勢を予測し、通信再確立を目指すという新たな挑戦でもありました。

しかし2015年5月、5回目の冬眠モードに入った後は電波の受信ができず、JAXAはこれ以上の電波受信の可能性は極めて低いと判断。2025年5月15日、探索業務を終了し、正式に運用を終える決定を下しました。

IKAROSの挑戦は終わりましたが、その成果はすでに次世代ミッションへと引き継がれています。JAXAは「IKAROSの使命は終わっていない」とし、今後もこの革新技術を発展させていく方針を示しています。「IKAROS」は、宇宙開発の歴史においてひとつの象徴的存在でした。燃料がなくても進める――それはまさに、人類の持続的な宇宙進出の鍵となるコンセプトです。

皆さんは未来に宇宙でソーラーセイルがどのように活躍していると思いますか?是非コメントお待ちしています。

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