元ラブホや古民家が…カンボジア寺院、神奈川山中に相次ぎ出現の背景
元ラブホテルや古民家が寺院に――。
神奈川県の山中で、古い建物を手作りで改装したカンボジア寺院が相次いで出現している。
そのルーツは約40年前にさかのぼるという。在日カンボジア人コミュニティーを支える施設を訪ね、実情に迫った。
山中にはためくカンボジア国旗
伊勢原市の山中にある善波峠。新道の開通で車通りがめっきり減った旧善波トンネル付近にかつてのラブホテル街がある。
その一角の細い道を上った突き当たりに、カンボジア国旗がはためく施設が見えてくる。
「ベイダートム寺院」だ。
戸建ての部屋が連なる、往年の「モーテル型」ラブホテルのたたずまいを残したままだ。
記者が訪ねると寺院代表の楠木立成さん(65)が、建立の経緯を説明してくれた。
楠木さんは首都プノンペン出身。ベトナム戦争後の混乱から逃れようと1990年にインドシナ難民として来日し、その後日本国籍を取得した。
月日が流れ、寺院ができたのは2017年だという。楠木さんは「カンボジアで成功したある実業家が、『なぜ日本にはカンボジア寺院がないのか』と廃ホテルだった土地を購入してくれた」と話す。
その後、ホテルは同胞の人たちの手で増改築され、母国から取り寄せた仏像を納めた本堂を備えた現在の姿になったという。
在日カンボジア人コミュニティーの核となる場所や、法要の場を作るためだった。
ただ、いかがわしさもある「ラブホ」の跡地を寺院として使うことをどう考えているのか。
興味本位で聞いてみたが、「イベントでは人が集まって音楽を流す。周辺に民家がないこの場所は好都合なんですよ」と気にする様子はない。
山中に誕生したカンボジア寺院。それは伊勢原だけの出来事ではなかった。
神奈川県の山中に出現したカンボジア寺院。運営者の激動の半生を追った後編はこちら【内戦中に子も失い 神奈川山中のカンボジア寺院運営者、激動の半生】
県道沿いに突如現れる寺院も
記者は9月下旬、神奈川県内にある別の寺院も訪ねた。
外国籍住民の割合が9%を超える多国籍地域、愛川町。山間部の県道54号を走ると突如、…