情報BOX:トランプ関税の影響、米の自動車や住宅建設などにも幅広く
トランプ米政権は4日未明、メキシコとカナダからの輸入品に25%の新たな関税を課した。写真は1月、米ミシガン州・デトロイトからカナダ・オンタリオ州ウィンザーに向かうトラック(2025年 ロイター/Rebecca Cook)
[4日 ロイター] - トランプ米政権は4日未明、メキシコとカナダからの輸入品に25%の新たな関税を課した。さらに中国製品への追加関税を2倍の20%に引き上げる措置を発動し、米国と主要貿易相手国3カ国との間で新たな貿易紛争に発展した。
これら関税措置は米国の自動車メーカーや住宅建設業者、小売業、原材料など、幅広いセクターの収益に打撃を与える見通し。
◎自動車メーカー
S&Pグローバルの試算によると、メキシコとカナダに工場を有する米自動車メーカーの年間EBITA(利払い・税引き・償却前利益)は平均10─25%下押しされる見通し。
JPモルガンのアナリストは、関税に絡む直接的なコストの大部分を自動車メーカーが負担すると予想する。ゼネラル・モーターズ(GM)(GM.N), opens new tabにかかるコストは約140億ドル、フォード(F.N), opens new tabは約60億ドルに達する見通し。
主要自動車メーカーが加盟する米国自動車イノベーション協会(AAI)は4日、トランプ大統領が発動したカナダとメキシコからの輸入品に対する25%の関税について、車両価格の大幅な上昇につながると警告した。 もっと見る
◎住宅建設業者
近隣諸国から原材料を輸入する米住宅建設業者もコスト増に直面する公算が大きい。
S&Pグローバルは、メキシコと中国からの家電製品、電子機器、戸棚などの完成品に対する関税によって建設コストがさらに拡大する可能性があると指摘する。
◎航空宇宙関連サプライヤー
航空宇宙産業協会によると、カナダは米国にとって航空宇宙関連製品の最大の輸入国(ドル換算)で、サプライヤーほか、すでに苦境に立たされている航空機大手ボーイング(BA.N), opens new tabなどのコスト拡大を招く可能性がある。
また、メキシコのケレタロとチワワには航空宇宙拠点があり、ハネウェルなどの大手サプライヤーを誘致している。
◎鉄鋼メーカー
米鉄鋼協会の2023年データによると、国内鉄鋼消費に占める輸入割合は約23%で、カナダ、ブラジル、メキシコが最大の供給国。
また、24年の米国の一次アルミニウム輸入の80%近くをカナダが占めた。
アルミ大手アルコア(AA.N), opens new tabは2月、アルミへの関税措置によって、米国で約10万人の雇用が失われる可能性があると警鐘を鳴らした。 もっと見る
◎航空会社とホテル
航空株やホテル株が軒並み下落した。
ランニング・ポイント・キャピタルのマイケル・アシュレー・シュルマン最高投資責任者(CIO)は「小売業者などが関税による価格上昇を顧客に警告しているため、旅行などへの裁量的支出が減るという懸念がある」と指摘。企業も出張を減らす可能性があるという。
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