グーグルマップのフル機能が使えない韓国。でも、それはデジタル赤字の「防波堤」なのかもしれない(BUSINESS INSIDER JAPAN)

黄金週間の連休中に韓国を訪ね、近年市民権を得た感のある「デジタル赤字」(その意味するところは過去の寄稿を参照)について深く考えさせられた。日本の現在地との比較を含めて、韓国の状況を報告させていただきたい。 【全画像をみる】グーグルマップのフル機能が使えない韓国。でも、それはデジタル赤字の「防波堤」なのかもしれない あまり馴染みのない海外の国や地域を訪れた際、読者の方々の多くがまずはグーグルマップを開き、空港から目的地までのルートや所要時間を把握しようとするのではないか。 韓国で同じことをしようとすると、いつも通り電車やバスなど公共機関を使う経路が表示されるものの、徒歩や車でのルートナビが機能しないことに気づかされる。 韓国に取引先を持つビジネスパーソンや韓国ファンの間ではほぼ常識的な事実のようだが、筆者にはそうしたご縁がなかったこともあり全く知らなかった。 詳しい方に聞いてみると、韓国は現時点でも隣国の北朝鮮と「休戦中」なので、安全保障上の観点から高精度地図データの国外持ち出しが制限されているという。 韓国当局は2026年2月、グーグルに対して「セキュリティに関する厳格な条件の順守を前提」とする条件付きの許可を出したものの、筆者の訪問時点でその成果は反映されていなかった。 同国の主要通信社である聯合ニュースによれば、当局は「グーグルマップやグーグルアースなど世界展開するサービス向けに韓国領土の衛星・航空写真を提供する際、軍事・機密施設を隠すなどのセキュリティ処理を施した映像を使用するよう求め」ており、「(グーグルの)韓国における提携先企業が保有する同国内のサーバーで原本データを加工し、政府の審査・確認を経たデータのみ持ち出し可能」だとか。 そんな事情があって、韓国を頻繁(ひんぱん)に訪れる人たちの間では、同国のインターネットサービス大手ネイバーやカカオが提供する地図アプリを使うのが定番になっている模様だ。 セキュリティ由来の制約はグーグルだけの問題ではなく、iPhoneや紛失防止タグのAirTagなどアップルの端末もしくはアプリで使える「探す」機能も動作しない。App Store経由でダウンロードできるアプリも日本と同じ感覚で機能を使おうとすると意外に制限が多いことに気づく。 韓国国内で利用されているスマートフォンの7割以上がAndroid OSを搭載したサムスン電子製のGalaxyシリーズなので、結果的に同国最大のアプリストアはGoogle Playとなっている。App Storeはそれに次ぐポジション。 さらに、同国の通信キャリア3社(SKテレコム、KT、LGユープラス)とネイバーが設立した合弁企業が運営する国産(Android向け)アプリストア「ONE store」も大きな市場シェアを持ち、大まかに言って三つ巴の構図。それが巨大プラットフォーマーの徴収する利用手数料へのけん制になっているとの評価がある。 一方、日本国内に目を向けると、アプリストアのシェアはApp Storeが6割、Google Playが4割という寡占状態で、第三勢力としての国産アプリストアが存在していない。 韓国に対しては、上述のような安全保障上の措置によって、グローバルスタンダードから取り残された不便な環境が温存されているとの評価が与えられがちだが、結果的に(意図せずして)巨大プラットフォーマーにデジタル主権を全面開放する事態を回避できている面もある。 市場がグローバルに開放されている状態が必ずしも国家の経済的利益と合致するわけではないことを示す事例という意味では非常に興味深い。

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