【日本市況】金利上昇いったん止まる、米金利低下と日銀オペ-株反発
23日の日本市場は、大幅に上昇していた超長期金利が一転して低下(債券価格は上昇)した。米債券高の流れで債券に打診買いが入った。日本株は金利低下を受けて反発した。
過去最高に上昇していた30年、40年国債の利回りはいずれも10bp(bp、1bp=0.01%)以上も低下した。日本銀行の国債買い入れオペで需給が改善するとの期待も加わり、3月下旬の高水準に近づいていた10年国債利回りも下がった。日本株は金利低下でリスク選好機運が持ち直し、電機を中心に上昇した。円はニューヨーク市場終値比で高い。
日米欧の長期金利上昇は止まったが、国内金利が基調として低下に転じるか市場は確認が持てていない。財政懸念に端を発する「米国売り」に加えて、日本では積極的な債券の買い手が見つからずに日銀も様子見姿勢だ。株式にも明確な方向性が出ておらず、代わりに投資マネーが流れる形で暗号資産(仮想通貨)を象徴するビットコインが史上最高値圏で推移している。
パインブリッジ・インベストメンツ債券運用部の松川忠部長は債券相場について、米長期金利上昇が止まったことや週末の持ち高調整の買いが入り反発したと指摘。同時に「来週の40年国債入札をこなせるか不安が大きく、債券相場の流れが変わるかどうかは分からない」と述べた。
23日の日本市場の債券・為替・株式相場の動き-午後3時30分過ぎ- 長期国債先物6月物の終値は前日比9銭高の138円74銭
- 新発10年国債利回りは1.5bp低い1.545%
- 新発30年国債利回りは11bp低い3.055%
- 新発40年国債利回りは13bp低い3.54%
- 円は対ドルでニューヨーク終値比0.4%高の143円47銭
- 東証株価指数(TOPIX)終値は前日比0.7%高の2735.52
- 日経平均株価は0.5%高の3万7160円47銭
債券
債券相場は上昇。米国で長期金利が3営業日ぶりに低下したことや、日銀の国債買い入れオペで需給が改善するとの期待が相場を支えた。
日銀は午前に定例の国債買い入れオペを実施した。対象は残存期間1年超3年以下、3年超5年以下、5年超10年以下、10年超25年以下。オペ結果によると、残存期間5年超10年以下の応札倍率は1.76倍と前回オペから上昇したが1倍台と低く、売り圧力が限定的となっていることを示唆した。
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みずほ証券の大森翔央輝チーフ・デスク・ストラテジストは「既発40年債の入れ替えらしき動きから始まり、40年債主導で超長期債は堅調になった」と指摘した。
さらに「超長期債の動きだけでイールドカーブにこれからフラットニング(平たん化)バイアスがかかるとは言い切れないが、きょうの値動きをみて投資家もまた一段と超長期債の売買に慎重になる可能性がある」と述べた。
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新発国債利回り(午後3時時点)
2年債 5年債 10年債 20年債 30年債 40年債 0.725% 1.035% 1.545% 2.560% 3.115% 3.600% 前日比 -0.5bp +0.5bp -1.5bp -2.5bp -5.0bp -7.0bp為替
東京外国為替市場で円相場は1ドル=143円台前半とニューヨーク終値比で上昇している。石破茂首相がトランプ米大統領と電話会談を行ったことを受けて、円安是正への警戒感が強まっている。
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あおぞら銀行の諸我晃チーフマーケットストラテジストは「円安是正が話し合われたのではないかとの思惑から円が買われている」と指摘。ドル資産離れの流れに円安是正の思惑が加わり、ドルの上値は重い」と言う。4月の全国消費者物価指数(CPI)で食料品価格が上昇し、インフレ懸念から日銀の利上げにつながるとの連想もドル売り圧力を強めているとした。
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赤沢亮正経済再生担当相は、米関税措置を巡る3回目の閣僚級協議に向けて23日から3日間の日程で訪米する。ベッセント米財務長官は欠席すると報じられている。みなと銀行の苅谷将吾ストラテジストは、米韓が通貨問題で協議したとの報道や、赤沢氏が30日を軸に再訪米しベッセント氏と協議するとの報道があることから、「円安是正が議題になることへの警戒感は消えていない」とし、ドルの上値は重いと語る。
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株式
東京株式相場は反発。米国のS&Pグローバル購買担当者指数(PMI)が改善したことを受けて、為替相場が前日の日本株終値時点に比べるとドル高・円安に振れており、輸出関連中心に上昇した。
電機や機械株が高く、東証33業種中27業種が上昇、その他製品が上昇率トップ、鉱業が下落率トップ。TOPIX上昇に最も寄与したのは任天堂で、指数構成銘柄1688銘柄のうち1169銘柄が上昇、452銘柄が下落、67銘柄は横ばいだった。
米投資・保険会社バークシャー・ハサウェイの副会長でバフェット氏後継に指名されたグレッグ・アベル氏と、商社5社のトップが22日までに面談したことが分かった。これを受けて三菱商事や伊藤忠商事が買われた。
東海東京インテリジェンス・ラボの沢田遼太郎シニアアナリストは、このニュースは日本の株式市場にとってポジティブだとして、バークシャーの株式保有は他の日本株への投資拡大の可能性を期待させるものだとも述べた。
日本製鋼所株が急反発、5カ月ぶりの高値を付けた。主要事業の原発、防衛両面で報道が相次ぎ、今後の需要拡大を見込む買いが入った。原発関連では日立製作所、防衛関連では三菱重工業なども値上がりした。
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