「我々の戦争ではない」 ホルムズ海峡艦艇派遣問題で鮮明になった西側同盟の地盤沈下 #エキスパートトピ

【イメージ】イランの地図を指差すトランプ大統領の像(2025.6.22)(写真:ロイター/アフロ)

米トランプ大統領はホルムズ海峡に艦艇を派遣し、民間船の護衛で協力するよう各国に呼びかけた。しかし応じる国がないことに苛立ち、3月18日に「軍事的成功」を理由に、もはや協力は必要ないと開き直った。

この一件はトランプによくある朝令暮改では済まない。

特別な関係にある英国のスターマー首相でさえ巻き込まれるのを嫌い、機雷除去用ドローン派遣の検討に止めたように、同盟国が軒並みソッポを向いたからだ。これは第二次世界大戦後の世界で異例ともいえる。

すでに表面化していた西側陣営の地盤沈下は、イラン戦争で急速に加速している。

ココがポイント

トランプ大統領「支援は必要ない」 ホルムズ海峡への艦船派遣の呼びかけを事実上撤回

(前略)「イギリスは戦争の拡大に巻き込まれることはない」と強調。艦船の派遣については明言しませんでした。出典:TBS NEWS DIG Powered by JNN 2026/3/17(火)

“This is not our war. We have ⁠not started it.(後略)出典:The Independent 2026/3/17(火)

例えばドイツは(中略)ヨーロッパ最強の軍隊」を目指す方針を打ち出した。これは第二次世界大戦後の自己規制を破るものだった。出典:六辻彰二 2025/6/7(土)

エキスパートの補足・見解

冷戦時代から米国はしばしば評判の悪い戦争につっ込んだが、それでも英国などいくつかの国はつき合った。それと比べると今回の反応は際立っている。

たとえばオーストラリアはベトナム戦争でもイラク侵攻でも米軍と行動をともにしたが、ホルムズ海峡に関してキング運輸相は「頼まれてない」とにべもない。

とりわけ明確に拒否した国の一つがドイツだ。

メルツ首相は「我々は攻撃の決定に関わっていないのでNATO(北大西洋条約機構)やドイツの問題ではない」と談話を発表した。ピストリウス国防相に至っては「我々の戦争ではない」と一蹴した。

どの国もイランの人権侵害や核開発疑惑に懸念を示し、原油価格高騰の影響を受けているが、「ムシが良すぎる」という拒絶の方が強いようだ。

トランプは各国向け関税を引き上げただけでなく、グリーンランド問題で欧州と対立し、ウクライナや台湾への関与を減らした。

おまけに貢献しても見返りは期待しにくい。オーストラリアの場合、トランプは約束されていた原子力潜水艦の売却を凍結した経緯がある。

こうした不義理は米国に頼りすぎず、つき合いすぎない「戦略的自律」を目指す動きを加速させてきた。イラン戦争はこれを改めて浮き彫りにしたといえる。

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