ハコものや積み過ぎ「問題基金三兄弟」7000億円超で支出わずか5% 立民・本庄氏指摘

立憲民主党の本庄知史氏

自民党と公明党、日本維新の会の3党が「高校授業料無償化」などで合意し、2025年度予算案は衆院を通過したが、その財源として「増税」の可能性が指摘されている。こうしたなか、立憲民主党の本庄知史衆院議員が予算委員会で、巨額のカネが積み立てられた基金の問題点に斬り込んで話題となった。本庄氏が「問題基金三兄弟」と指摘する3基金の残高(今年度見込み)は7000億円を超えるという。

「この基金は事業の実現が全く見通せないので、白紙に戻してもいいと考えている。海外の大学や研究機関と連携してスタートアップ(新興企業)のハブを目指すという発想はいいが、国がその拠点として、税金を使って都心にハコものを造るという感覚が理解できない」

本庄氏は2月の予算委で、3回にわたって追及した「グローバル・スタートアップ・キャンパス基金」についてこう語る。

同基金は、海外の大学などと連携してスタートアップ(新興企業)の拠点形成を目指すものだ。22年度補正予算で66億円、23年度補正予算で570億円計上されたが、政府は2月6日の衆院予算委で、計636億円のうち支出されたのは、計2470万円と明らかにした。残高の0・1%にも満たない。

辻清人内閣府副大臣は同日の予算委で、事業の進行状況について「国内外の大学、産業界等の関係諸機関との調整等に時間を要しており、当初の予定通りの執行ができていない点はご指摘のとおりです」と述べた。

「計画的な対応を」訴え

本庄氏が「問題基金三兄弟」と指摘するのは、同基金のほか、企業や大学による宇宙分野の技術開発を後押しする「宇宙戦略基金」と、防衛産業を対象に企業が装備品を輸出仕様に改修する際の費用を補助する「防衛装備移転円滑化基金」だ。

宇宙戦略基金は23年度補正予算と24年度補正予算で積み立てた額は計6000億円に上る。防衛装備移転円滑化基金は23、24年度予算で計800億円計上した。だが、本庄氏によると、それぞれの支出(23年度と24年度見込み)は、宇宙戦略基金が301億128万1000円、防衛装備移転円滑化基金が1億3912万円にとどまっている。

本庄氏は「宇宙戦略基金は必要は必要だが、慌てて積み過ぎており、もう少し予算面も含めて計画的に対応していくべきだ。防衛装備移転円滑化基金は防衛装備移転のために国が後押しするという趣旨は理解するものの、毎年400億円を積み立てるというのは極めて機械的で、必要性に応じて積み上げた予算とはとても言えない」と話す。

無駄削減の戦い終わらず

3基金の残高7000億円超(見込み)のうち、支出は約300億円に過ぎない。衆院での予算審議は終わったが、政府が国民に負担増を求めるなか、今後どうなりそうか。

本庄氏は「われわれは全部の基金が無駄と言っているわけではない。ただ、財政は厳しく、優先順位や費用対効果という意味で『後回しにしていいのではないか』『いったん削っていいのではないか』という目線で見ている。比較検討の中で取捨選択をしていかざるを得ない。夏には各省庁の概算要求が出て、再来年度の予算に向けた議論もかなり煮詰まってくる。その段階で無駄な基金を追及していくことは大事だ。その意味で無駄削減のための戦いは終わらない」と話した。

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