タイタニック号犠牲者の形見の時計が競売に、救命ボート拒み共に死ぬことを選んだ夫妻
(CNN) イジドー・ストラウスさんと妻アイダさんは、氷山に衝突して沈没したタイタニック号の惨事で最も注目を集めた犠牲者として記憶されている。またファーストクラスに乗船していて亡くなった数少ない犠牲者でもある。
タイタニックの沈没時、夫妻は救命ボートの座席を提供されたものの、最終的にそれに乗ることを拒否した。夫妻のエピソードはジェームズ・キャメロン監督の1997年のアカデミー賞受賞映画「タイタニック」でも描かれている。
ニューヨークの百貨店メイシーズの共同経営者だったイジドーさんの遺体は後に回収されたが、アイダさんの遺体は見つからなかった。世界で最も有名な海難事故から1世紀以上が経った今、イジドーさんが当時身に着けていた懐中時計が売りに出されている。
金の懐中時計はイジドーさんの遺体から回収され、夫妻の息子ジェシーさんに返還された。
22日に出品されるこの懐中時計は、最高100万ポンド(約2億円)の値がつくと予想される。時計にはイジドーさんのイニシャルと1888年2月6日の日付が刻まれている。この日はイジドーさんの43歳の誕生日。またこの年にイジドーさんと弟のネイサンさんは、メイシーズの共同経営者となった。
オークションを担当する英国のオークション会社、ヘンリー・アルドリッジ・アンド・サンは、この時計を「これまでオークションに出品されたタイタニック関連の品目の中で最も重要かつ象徴的な品の一つ」と評している。オークションに出品される前、この時計は一族に代々受け継がれてきた。
映画「タイタニック」でリュー・パルターとエルサ・レイブンが演じたストラウス夫妻は、船が沈没する間、ベッドの上で抱き合う姿が描かれる。実際の夫妻は母国ドイツから米国へ帰国する途中でタイタニックに乗船。最後は甲板で手を握り合って立っているところを生存者が目撃している。その後夫妻は波にさらわれ、船外に投げ出された。
英国国立公文書館の文書によると、2人は当初救命ボート8番に案内された。だがイジドーさんは自分よりも若い男性たちが乗るのを禁じられている中、乗ることはできないとして乗船を拒否。するとアイダさんも「あなたが行くところへ、私も行きます」と言って乗船を拒んだという。
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原文タイトル:‘They chose to die together on the Titanic. Now a reminder of their love story is going on sale(抄訳)